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【美術・デザイン】
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  内山 博子 教授  
  女子美術大学芸術学部メディアアート学科教授。女子美術大学卒業、筑波大学大学院修士課程芸術研究科修了。
「コンピュータ・グラフィックスにおける色彩の研究」、「芸術表現におけるコンピュータ・グラフィックスの可能性について」などの研究論文や、共著「コンピュータ・グラフィックス・アート」(パーソナルメディア社)を出版。
SIGGRAPH’94アートショー(アメリカ)、BIT.MOVIE95(イタリア)、「デジタルの職人」展(日本)、IV2000デジタルアートギャラリー(イギリス)、SIGGRAPH2001アートギャラリー(アメリカ), SIGGRAPH2003アートギャラリー(アメリカ)などで作品発表。
SIGGRAPH2005 Cyberfashion Show(アメリカ)でウェアラブル・コンピュータの共同研究発表を行う。SIGGRAPH2006 Research Posters(アメリカ)ではCGによる復顔研究を発表。専門は、CGを中心とするデジタル・メディア・テクノロジーによる芸術表現の研究と教育。
 
         
 
コンピュータという文明の利器が発明されて60年余り。これが日本のクリエイティブ分野で活用され、「コンピュータアート」という新たなカテゴリーを築いて40年にも満たないが、その進化のスピードはドッグイヤーに匹敵するほどだ。
いまでは、映像、デザイン、音楽、ゲームなどクリエイティブシーンの最先端で不可欠な表現技術として、アナログの不可能を可能に転化させている。これを「美術教育に機械はいらない」という逆風の時代にも、先見の明で逸早く教育現場に取り入れたのが1972年の女子美だ。
現在ではどこの美大でも人気学科の一つだが当時としては挑戦的な試みだった。内山教授は、手探り状態のこの黎明期から近い将来の可能性を信じ、デジタルパレットの世界にどっぷり浸ってきたコンピュータアートのパイオニアの1人である。
   
         
         
 
 
長足の進歩を遂げている
コンピュータサイエンスアート
 
     

―― CGアーティストのパイオニアの1人として今振り返ってみると。

内山  長足の進化を実感しますね。コンピュータアートといわれる潮流がアメリカから日本に入ってきたのは1970年だと思います。丁度大阪万博の時で、人類の進歩と調和をテーマに日本中が活気づいていました。しかし、当時のコンピュータは今では信じられないくらい巨大なマシンでしかも大変高価な道具でした。
コンピュータを使用することが特別な時代ですから、コンピュータアートとはいっても、白黒のペンが紙の上を線画で描くドローイング方式。これが日本でのスタートだったんです。

またグラフィックス機能には程遠く、コンピュータはいちいちプログラムを書かないと動いてくれない。こんなことですから社会で話題にはなっても美大での関心はあまりなかったように思います。
 
しかし、わたしが女子美の学生だった頃の77〜78年当時、今思えばとても先見の明があった恩師の田中先生が、「これで美術のジャンルにも新たな道が開ける」と熱心にコンピュータアートを研究されていました。学内では、「機械に絵を描かせてどうするんだ」と逆風でしたが、女子美では1972年からコンピュータアートゼミを開講していたんです。もちろん日本の美大では始めての試みで最も長い歴史を誇っています。わたしもゼミ受講生たった3人の中の1人でした。

―― いまではハード、ソフトともに目を見張る進歩ですが。

内山 コンピュータは1946年、アメリカで誕生したといわれていますから、まだ60年余りの歴史しかないんです。しかし、これを他のテクノロジーと比較すると人間の7倍の早さで成長するといわれるドッグイヤーに匹敵するほどのすさまじいスピードの進化なんです。あらゆる産業で応用できるその範囲の広さと奥の深さも魅力です。本学のメディアアート学科の視点もまさしくこのコンピュータサイエンスのフィールドとともにあります。
 
         
         
 
 
デジタル作品に物理的な痕跡を創り
「わたしだけの作品」をめざす
 
     

―― デジタル作品の特徴といえば。

内山  長年、夢中でCG作品を制作してきましたが、ある時ふと感じたんです。デジタル作品のオリジナリティーとは何なんだと。データさえあればわたしでなくても永久に同じ作品を創り出すことができるわけだし。完全に同じ作品を2枚創ることができないアナログとは絶対的に相違がある。この壁にあたったんです。
 
いろいろ試行錯誤しながら「わたしだけの作品」にするには、わたしの痕跡を物理的に作品に記していくことだと考えたんです。

そこで布を素材にプリントアウトすることにしました。紙と違うのは出力後の加工が容易いことです。ギャザを寄せたり、プリーツを創ったり、偶然できる痕跡も含め、自由な手加工を施すことで、わたし自身を表現しているんです。クリエイターにはオリジナリーが原点ですから、学生にもこれを強調しています。
 
         
 
 
 
学生作品
 
     

学生作品

▲椎名舞子

学生作品

▲板橋さやか

 

学生作品

▲皆川恵美里

学生作品

▲伊原明恵

 
 
         
 
 
コミュニケーションの力を推進力にする
メディアアートの制作
 
     

―― メディアアートの作品制作で大事なことは。

内山  メディアの作品は、最先端サイエンスのジャンルが複合的にミックスされて完成品となります。だから、さまざまなアーティストの方々や技術の方とコミュニケーションをとれることが必須の条件になるんです。スタッフの1人ひとりが共通の目標に向かって進むというスタンスが大切なんです。
単に絵を描くのが好きだからパソコン相手に1人でコツコツとキーボードをたたいているだけでは通用しないことを理解しなければいけません。
 
この流れを肌で感じてもらうため、本学科では2学年にプロジェクト&コラボレーションという科目で、プロの制作現場同様のグループワークシステムで課題に取り組ませているほどです。グループワークでいろいろな役割を理解し、人間関係の障害を乗り越えた先に作品の完成があることをこのトレーニングで実感してもらいます。

このプログラムがレベルアップすると、3学年で実際に外部クライアントのオーダーを受注して作業することも積極的に行います。これまで秋山貴彦監督の映画「ヒノキオ」で、CGと実写の合成場面に参加させていただいたり、いろいろな産学共同制作を実践しています。
 
         
         
 
 
古代エジプトミイラの
複顔CGで高い評価
 
     

―― 女子美といえば産官学共同プロジェクト推進で知られていますが、メディアアート学科ではどんな企画をやってこられましたか。

内山  毎年いろいろな共同企画、制作を行っていますが、CGによるエジプトミイラの複顔プロジェクトでは、社会から高く評価していただきました。
吉村作治教授を隊長とする早稲田大学古代エジプト調査隊によって発見された完全ミイラ「セヌウ」の複顔をする制作ですが、解剖学やエジプト学ではそれぞれ専門の先生とコラボレーションさせていただき、わたしやプロジェクト学生で3DCGを完成させました。

美術的要素ではわたしたちの知識や技術が十分に活かされたのですが、医学的な考察や、考古学的な面ではほとんど知識がない未知の世界のため、相当なプレッシャーの中での作業でしたが、吉村作治先生が最後に「これだ!」と、おっしゃってくださったときは涙がでるほどうれしかったですね。
これがキッカケで、今年の1月3日、TBS系列で放送された特別番組「古代エジプト大冒険」では、王家の谷で発掘されたミイラ「ラムセス2世」の複顔作りにも取り組ませていただき、学生は本当に生きた教材を手にした感がありました。
   
senu

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内山教授がおすすめする 高校生のためのCGが素敵なおすすめの映画
 
  ファインディング・ニモ
 “Finding NEMO”・・・
Pixar Animation StudiosによってCG制作された2003年公開のこの映画は、魚の親子の愛情を描いた作品です。CGで制作された海の中に住む様々な生物の表現や動きの素晴らしさはもちろん、何よりもその色彩表現の美しさに、うっとりとさせられます。  
  ロード・オブ・ザ・リング
  “Lord of the Rings”・・・
ニュージーランドのWeta Digitalによって主にCGが制作され、2001年から3部作が続々公開されました。戦闘シーンで登場する大勢の戦士達は、Massive(マッシブ)という人工知能を用いて表現されています。原作はファンタジーの父とも呼ばれるJ.R.R.トールキンです。  
  シュレック
  “Shrek”・・・
PDI/DreamWorksによりCG制作され2001年に初公開されたフルCG映画作品です。主人公シュレックを中心に笑いを誘うストーリーが展開しますが、CGによる光の繊細な表現に注目をして見てもらいたい映画です。  
  スター・ウォーズ
  “Star Wars”・・・
1977年初公開された有名な映画シリーズです。1999年から公開されたエピソードシリーズは主にIndustrial Light & Magic(ILM)によってCGが制作されました。デジタルシネマという用語が使われはじめたように様々な面でデジタル技術が駆使され、中でもエピソードIIIでは元々人形で制作されたヨーダをCGで制作しており、CGによる表情を人形の表情に似せるために大変な苦労をしたそうです。  
  アイ、ロボット
  “I,ROBOT”・・・
主にDigital DomainでCGが制作された2004年公開作品です。SF界の巨匠アイザック・アシモフのロボットシリーズを原作にストーリーが組み立てられたそうです。ロボットの乳白色の質感とライティングは何枚もの画像を重ね合わせることで制作されています。  
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