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【分野】
語学・国際 | 理学・工学 | 教育・保育 | 体育・スポーツ | 経済・経営 | 美術・デザイン | 家政・食物
【美術・デザイン】
東京造形大学 | 武蔵野美術大学 | 東京工芸大学 | 京都精華大学 | 女子美術大学 | 桜美林大学
 
  武蔵 篤彦 教授  
  ワシントン大学美術学部卒業。サンフランシスコ・アート・インスティチュート大院卒。
 
  【主な展覧会】  
  1987 現代美術のコスモロジー(ICA名古屋)
1988 クラコウ国際版画ビエンナーレ(ポーランド)
1889 ユーロパリア89(ベルギー)
1990 インターグラフィック90(ドイツ)
1993 芸術祭典・京(無鱗庵/京都)
1993 さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ(札幌)
  1995 京都市芸術新人賞受賞作家展95
1999 ぶどうの国の国際版画ビエンナーレ(山梨県立美術館)
1999 スコットランド・マニュアル〈アート・クラブ賞〉(エディンバラ)
2001 マキシグラフィカ・エクステンション(京都市立美術館)
2004 現代版画の潮流(町田市立国際版画美術館、松本市美術館)
2006 中華民国国際版画素描ビエンナーレ(国際台湾美術館)
 
         
 
版画といえば、木版画やリトグラフが一般的だが、京都精華大学の版画コースは伝統の中にテクノロジーなど新たな発想をミックスさせ、新感覚の作品を発表して話題になっている。
この刺激的で未知の可能性を探る空間をリードしているのが「自分だけの表現をみつけること」を指導している武蔵先生だ。規制の概念にとらわれることなく多様な表現方法の版画が新たな魅力を広げている。だからここの工房にはいつも自由な風が吹いている。ワクワクするほど興味深い。
   
         
         
 
 
木版、銅版だけが版画ではない
メディアを介在させるものすべてが版画表現に
 
     

 ―― 版画という作品の魅力はどんなところにありますか。

武蔵 私は当初デザインを志してアメリカの美大に留学していたのですが、ある時先生が持っていた版画の作品集を見て、その斬新な技法に強く心を打たれたのです。ドイツのリトグラフ作家でパウル・ヴンダーリッヒの作品でしたが、グラフィックであり、ファインアートでもあったその作品は、私にとって実に衝撃的な出会いでした。以来、この世界にのめり込んでいます。
 
絵画の場合、直接キャンバスに絵の具で描きますが、版画は版を介在して表現していますから、刷ってみないとわからない。これが間接表現の魅力で、多様な感性から生み出される新たな造形感覚での表現も作家の創造する楽しさを拡げてくれます。

版というものを私はメディアだと考えていますから、油彩や日本画など直接キャンバスや紙に描く方法以外で、媒体で表現するものは広い意味ですべて版画だというとらえ方です。だから、精華の学生にしてもアイデア次第でさまざまな素材やテクニックを駆使し、自分が求めていた表現と相性がピタッと合えば素晴らしい作品が生まれてくる可能性があります。

これまでの日本の版画家のイメージは伝統的な版画ジャンルを追求されている先生がほとんどだと思いますが、海外の作家の場合、版画の他にペインティングもしますから、版画を特殊な専門領域として考えていないようです。私も同様に考えて活動していますから、基本的にメディアがあれば版画表現が成り立つ訳です。これだと表現の可能性は無限に広がってくるわけです。
 
         
         
 
 
アナログ技法と最新の印刷テクノロジーを 融合させたポリマー版画技法
 
     

―― 先生が指導しているポリマー版画という新しい技法が話題になっていますが。

武蔵  現代アートからみると版画はまだまだオーソドックスな表現にみられがちですが、実際は大きな可能性を秘めている分野だと思います。
私は授業で石によるリトグラフとポリマー版画を指導していますが、石のリトグラフ技法は200年前に誕生して以来、変わっていません。ここでは、石を磨いて、線一本を引く大変さを理解できれば200年間の凝縮された技の重みもわかってもらえるでしょう。また一方では、写真と絵画と版画の接点を探りながら、今までにない新たな版画表現を目指している、テクノロジーを駆使したポリマー版画があります。

二種類の感光性樹脂版を利用した技法で、印刷用写真製版技術を応用したポリマー平版、ポリマー凹版を使う新しい版画技法です。石版画のような平版刷りと銅版画のような凹版刷りにわかれ、繊細で味わい深い表現が可能です。
 
これはいろいろな失敗を重ねて、偶然発見できる応用的な技法も楽しみなんです。版画はコンピュータと違って予想できない誤差や失敗が生じます。これをそこにとどめておくのではなく、どのように応用展開させるかで、作品の価値がグンと違ってきます。版画のアナログ的な技法と最新の印刷テクノロジーを融合させることによって新しい時代の版画技法が誕生する可能性に期待がもてます。
学生にはいろいろなことに積極的にチャレンジしてほしいですね。
 
         
 
 
 
環境にやさしい工房をめざし
ISO14001を取得
 
     

―― 工房がISO14001の認定を受け、環境にも配慮されているそうですが。

武蔵  大学の工房も環境問題において特別ではありませんから、版画コースでは、周辺の環境や学生の健康にも十分に配慮した技法に取り組んでいます。例えば化学薬品を一切使用しない製版方法のポリマー版画や、廃液の適切な処理、シンナーも絶対使用させないようにしています。基本的に有毒な化学薬品を使う版画技法は廃止していて、油性インクを水性インクに変えたシルクスクリーン版画や、銅版画では1年生が「リサイクル版画」のプログラムに参加し、腐食液を使用しない新しい表現方法も研究しています。
 
 
         
 
 
充実したカリキュラムと環境で
自分の感性にあった技法を発見
 
     

―― 高校生で版画の世界に興味をもち、入学されたらまず、どんなことを指導されるのですか。

武蔵 高校生がイメージされる版画は大抵木版画だと思いますが、まず、版画にはさまざまな技法があって、さらに自分で開発していくものだということを教えます。CGや写真や紙すき、木版にもいろいろな種類があることや、テクノロジーを利用した新技法などを実感してもらいます。

また、版画には「木版画」「銅版画」「リトグラフ」「シルクスクリーン」という基本4版種と呼ばれる技法があります。本学では、これらの技法をすべて基礎から学べるカリキュラムが編成されています。これは全国の美大でも珍しく、この中から、自分にあった技法を見きわめることができます。私たちはその環境を作ってありますから、自分の感性に合った技法をきっと見つけられると思います。
卒業後は、版画家の道の他に、ここで養った思考力を基に、彫刻家やデザイナー、画家になってもいいと思います。
  ―― 入学前の高校生でやっておくことはありますか。

武蔵 すべての基本はデッサンですから、そのトレーニングを充実させた上で、他に夢中になれるものを探しておいた方がいいですね。技術的には年々上達していきますが、自由なテーマで制作しなさいといった場合、テーマを見つけられない学生がいるんです。
日常の生活でこだわっているものがあれば、直ぐ取り組むことができますからね。こういう学生が卒業制作でもパッとうまく花開いてくれるんです。
 
         
     
 
武蔵教授がおすすめする高校生のための「映画」
 
  ブレードランナー・・・ 1982年に上映された近未来のカルトムービーですが、時間を経ても色褪せず、何度見ても飽きることのない秀逸な作品です。  
  イレーザーヘッド・・・ 鬼才デビット・リンチが70年代半ばに製作した衝撃的なデビュー作品です。ダダイズムの絵画を見る緊張感に似たものを感じます。  
  ツィゴイネルワイゼン・・・ 鈴木清順監督の作品です。非常に不可思議な物語ですが、主人公の生と死の境界線がこの謎めいた世界を紐解く鍵になります。  
  竜二・・・ 夭逝した金子正次の代表作。主役の職業を画家に置き換えると、この映画をまた違う角度から楽しめます。  
  パリ、テキサス・・・ ヴィム・ヴェンダースの映像とライ・クーダーの音楽がテキサスの原野を舞台に絶妙に融合しています。  
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