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【美術・デザイン】
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  和田 昌樹 准教授  
  学習院大学法学部政治学科卒業。
1975年ダイヤモンド社入社。 「月刊BOX」編集長「EcologistJapan」編集長を経てダイヤモンド社国際経営研究所調査研究部部長として出向。 第一雑誌編集局局次長兼「マルチメディア&ビジネス」 編集長、広告局長、データベース事業局長を経て、桜美林大学総合文化学群准教授。
 
         
 
“学生ひとりひとりの独自の(インデペンデンス)の発想”を大事にする桜美林大学総合文化学群・造形デザインコースでは、CGやDTPの技術を学べる最先端の環境を整え、次代をも見据えた人材育成に取り組んでいる。また、提携校のオバリン大学(米オハイオ州)から教授を招き、グローバルな視点の獲得を目的に講義を開くなどして、学生たちの創造性を刺激している。
時代のニーズを敏感に捕え、先見性を備えたクリエーターへと学生たちを育てあげる教授陣の中で、長年、出版社に勤務しながらも、日本人ではじめて「ローリングストーンズ」のライブ写真を撮るなど、異才を遺憾なく発揮してきた和田昌樹准教授にお話をうかがった。
   
         
         
 
 
人と人とのつながり方を
デザインすることを考えていた
 
     

― 和田准教授は前職が出版社という経歴をお持ちですが、どういったきっかけで大学に転身されたのですか?

和田  出版社での広告局長時代、単に営業しているだけでは面白くないので、インターネット時代を迎えるにあたって、雑誌広告の在り方はどうなるのかということを考えていました。読者との新しいつながり方、あるいは読者と広告主とのつながり方を考え直していかないといけないなと。

もともとネットに関心を持っていたのは早くて、1980年頃からのネットワーカーでキャリアは長いんですよ。そんなこともあり、80年代末には長期的に見た場合、印刷物には限界があると感じていました。ただ、ネットがこんな短期間で普及してくるとは考えていませんでしたね。コミュニケーションのツールとしてインターネットが入ってきて、生活の中に浸透すればするほど、新しいモラルだとか、付き合い方やルールが必要になってくるというのは予感していました。

そうしたことを色々と勉強する中で、コミュニケーションというジャンル、人と人との関係をデザインするという方向に興味がだんだん変わっていきました。
 
人と人とのつながり方の構造を表現したり、あるいは、実際にコミュニケーションするときにはどのようなインターフェースが必要かを考えるようになりました。それらは視覚デッサンであったり、言葉であったりするわけですが、自分のメッセージを相手に正確に伝えるためには、それなりの知識や努力が必要となります。

そうしたことを情報リテラシーとして学習するべきだと、あちこちで話をしていたら、大学でそれをやってみないかと誘われ、新しいことにチャレンジできるなら面白いということで定年前に出版社を辞めました。
 
         
         
 
 
“イミテーション>バリエーション
>クリエーション”という発展段階
 
     

― アーティストを目指す人は、独創的で世に認められる作品を創りたいという夢を持っている人が多いと思うのですが?

和田 自分で「これは独創的で面白いからやってみよう」と考えていることは大体、誰かがやっているものなのです。アートというのは”イミテーション>バリエーション>クリエーション”という発展段階を繰り返します。学問も同じですが、最初は人のマネをすることから始まって、マネを続けていくうちに、引き出しが増えてきてバリエーションが生まれてきます。

 
普通の人はこのバリエーションの段階で発展がほとんど終わってしまいます。しかし、そこで踏ん張って、自分だけのものを造ろうとがんばっているとクリエイティブが始まります。天才はそのクリエイティブを連発します。そこが凄いのです。自己革新が連続して出来るのです。ところが、普通の人はイミテーションバリエーションでがんばってもひとつかふたつくらいしかクリエーションはできません。連発できるようになることは天才でもない限り、難しいですね。

私が尊敬している人物のひとりにジェームス・タレルという光とアートの作家がいます。コンテンポラリーアーティストでアースワークというジャンルの作家です。

彼の代表作の中で有名なのがアリゾナの砂漠地帯にある噴火口に、200メートルくらいのトンネルを掘ってピンホールカメラを造った『ローデン・クレーター・プロジェクト』と呼ばれる壮大な作品があります。実際に30代の頃、彼に会いに行き話を聞き、すごく感銘を受けて帰ってきました。

言葉だけで夢を語るのは簡単ですけど、イメージを具体的な形にしていくとき、すごく行動力も要るし、勉強もしなくてはいけないし、情熱が必要なわけです。

ジェームス・タレルを素晴らしいと感じたのは、作品のイメージもさることながら、それを造るために天文学や土木工学を勉強した。そして土木工事用の機械を買うために、昔の飛行機、複葉機などを飛べるようにして、それを売り、お金を作ったりしていた。これはとても普通の人ではマネできることではありませんね。私は、彼の着想だけでなく、その夢を実現する実行力にも敬服したいのです。
 
         
         
 
 
期待のコミュニティ放送局
『桜美林ワイヤーキャスト』
 
     

― 研究分野のコミュニティ放送局についておうかがいしたいのですが。

和田 桜美林大学放送局、『桜美林ワイヤーキャスト』という取り組みを行っていて、現在、番組が少しずつ、立ち上がりはじめています。

友達や先生から得た情報を自分の中で熟成させて何かを掴んだり、表現したくなったものを学生たちは外に向かって発信させて、世の中に問わなくては自分の考えていることの社会的評価は得られませんよね。そのための情報交換、発信の情報パイプが『桜美林ワイヤーキャスト』です。こういったパイプが以前はありませんでした。それでは学生たちが成長出来ないだろうと考えてこの取り組みをはじめました。

総合文化学群の学生たちは将来クリエーターを目指しているので、外に向かって発信していける能力を身に付けていかないといけません。まずは、社会との接点、人との接点を学内に止めることなく、表現したいことを、”世間の目にさらせ”というのが狙いのひとつです。
 
 
その中ではいくら失敗したっていいわけです。そういうことを通して、成長していってもらいたいという位置付けで放送局をはじめました。

また、将来的にはテレビ・新聞・雑誌といったマスメディアの市場が縮小し、その分インターネットなどでのコンテンツ配信市場が拡大すると予想されています。今はビジネスとしては成り立っていませんが、やがてネット配信のコンテンツ市場は必ず大きくなる。そして優秀なコンテンツ制作者が求められるようになる。こういった時代のニーズに応えられる学生、あるいはニーズを作り出せる学生を社会に送り出したいと考えています。
 
         
     
 
和田昌樹准教授の個性的な研究分野とチェックしておきたい人物
 
  【研究分野】  
  コミュニティ放送局とポッドキャスティング(メディア情報学・データベース)  
  子どもたちへのメディア・リテラシー教育(教科教育学)  
  【チェックしておきたい人物】  
  ジェームス・タレル(1943年米生まれ)
本文でも准教授が触れている『ローデン・クレーター・プロジェクト』 は1970年代後半から着手され、最近ようやく完成した制作時間、構想とも恐るべきスケールの作品。 18.6年毎に月の光が射し込み、ピンホールカメラの原理で部屋の壁に月の光が映し出されるように計算されている。 他にも様々なコンセプトで造られた部屋がある。
 
  梅棹忠夫(1920生まれ)
准教授が尊敬するふたりめの人物。文化人類学者。1963年に『情報産業論』を発表。「情報産業」という言葉の名づけ親。  初代・国立民族博物館館長。
 
  川俣正(1953年生まれ)
和田准教授曰く実行力があり人を魅了する力を持った”天才的ゲージュツ・アジテーター”と賞賛する「ワーク・イン・プログレス」などで知られるコンテンポラリーアーティスト。
 
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