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【家政・食物】
神戸女子大学 | 関東学院大学 
     
     
     
     
     
  栗原 伸公 教授  
  東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部助手(衛生学)、米国Henry Ford Hospital、Research Fellow(Hypertension and Vascular Research)、埼玉医科大学専任講師(衛生学)などを経て、現職。医師・博士(医学)。専門分野は、予防医学(高血圧・循環器疾患)、食品衛生学、産業衛生学。  
         
 
 家政学部の「公衆衛生学」の講義やゼミで衛生・公衆衛生学の重要性とその研究の楽しさを伝えている神戸女子大学。管理栄養士養成課程では、病院や保健所などで、食による健康保持・増進を実践し、教育(食育)を行うエキスパートとしての管理栄養士を育てています。
   さらに、研究に魅せられた人たちは、神戸女子大学大学院家政学研究科食物栄養学専攻でその魅力を追求しています。こうした人気の高まっている衛生・公衆衛生学に関して、栗原伸公教授にお話を伺いました。  
         
         
 
 
「衛生学」とは
生命・生活を守るための学問
 
     

 ―― ひとくちに「衛生」といっても幅広い内容だと思いますが、具体的にはどのような学問になるのですか?

栗原 「衛生」という言葉は、今では世の中に非常にありふれた言葉になっていますが、もともとは明治政府の偉いお役人の長与専斎という医師が、Hygieneの訳語として、中国の古典をもとに名付けた言葉です。その意味は文字通り「生を衛(まも)る」というものです。「生」とは我々人間をはじめ、地上の生き物すべての「生命」そして「生活」、さらには「人生」をも含んでいます。
  そうしたかけがえのないものを守ることが「衛生」であり、それを扱う学問が「衛生学」です。 一方、もとになったHygieneという言葉は、Hygeiaというギリシャ神話の予防医学の女神の名前にちなんだ言葉であり、それこそギリシャの昔からHygieneすなわち衛生学の内容の中心は、最近流行の「予防医学」そのものなのです。
   この、疾病を予防して生を衛る学問「衛生学」はかつてはドイツでもっとも盛んでしたが、やや遅れて英米でも「Public Health(公衆衛生学)」として大変盛んになりました。
 現在、本学家政学部の管理栄養士養成課程と家政課程では、ともに「公衆衛生学」が必修となっていますが、その内容は衛生学と公衆衛生学が一体となったものです。ちなみに「家政学部」は、最近ではある程度歴史のある大学のうちの幾つかを除けば、大変少なくなってきています。老舗の大学でも「生活科学部」に名称変更するところが多くなってきていますが、「家政」というのはあまりにありふれた言葉であるため特徴が見えにくくなっているのかもしれません。「衛生」も「家政」もあまりに重要であり、生命・生活の基本であり過ぎるために、その特徴が見えにくくなってきている点で似ている言葉ともいえます。
 
         
         
 
 
「衛生学」の魅力は
「健康保持」と「健康増進」
 
     

 ―― 「衛生学」の魅力を教えて下さい。

栗原 衛生学の一番の魅力は、何といっても、病気を未然に防ぐための努力を行うことです。まさに予防医学なのですが、衛生学や公衆衛生学ではさらに、大勢の人々つまり集団の健康を守るという視点が強く存在します。
 当然のことながら、生命は誰にとってもかけがえのないものであり、たった一人といえどもその命を守ることはきわめて重要です。
   ましてそういった大切な一人ひとりの人間の生命・生活を、何百人とか何万人、場合によっては何千万人も守る、さらにはそもそも病気にならないようにする、という衛生・公衆衛生学という学問がいかに重要であり、魅力に富んだものであり、やりがいのあるものか。もう皆さんは十分に理解されているでしょう。
 さらに、最近は病気にならないようにする「健康保持」ばかりでなく、病気になりにくい身体、病気に強い身体を作るという「健康増進」の考え方も広まってきています。守りばかりでなく病気に対して積極的に攻撃していくという姿勢です。
 
         
         
 
 
衣食住とヒトの健康は
密接にリンクしている
 
     

 ―― この学問に興味を持っている高校生や、実際に現在学んでいる学生などに心がけてほしいことはありますか?

栗原 ここまでで紹介した健康保持・増進のための大変重要な要素が、他ならぬ衣・食・住であり、家政学部で学ぶこれら生活の基本的要素は、健康のためになくてはならない要素でもあります。たとえば「衣」ですが、人は裸でいればたとえ気温が20度でも凍死すると言われており、衣服が健康にどれだけ重要かわかります。
  また、「食」ですが、医食同源という言葉もあるように、適切な食事によって多くの病気が予防できますし、病気に罹りにくくなる身体が出来ます。また治療食は病気の治癒を大いに助けます。それから「住」、さらに「生活環境」、これも人の健康状態を大きく左右するのは皆さんご存知のとおりです。
    衛生・公衆衛生学ではこうしたそれぞれの要素を、調査や統計処理を行う疫学的手法と、生理学・生化学・分子生物学などの手法を応用した実験的手法とをどちらも駆使して研究し、健康保持・増進につなげていきます。
  さらにそうした研究成果をもとにして、よりよい社会医療健康福祉制度を提言し、厚生労働行政施策などに結び付けていくのもこの学問の使命です。その意味で時代や社会の流れに非常に敏感な学問で、最近ではその魅力に注目し当大学の大学院などでより深く研究する人が急激に増えてくるなど、人気が高まっている学問といえるでしょう。

 ―― ありがとうございました。
 
         

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