
これという進路を一度で決め、そこに無事進むのは容易なことではありません。
時には、いろいろ迷って進路を決められなかったり、力が及ばなかったりなどの理由からフリーターや派遣社員の道を選んだり、ニートとなったり、あるいは中退して進路を考え直すこともあります。
もちろん、そこから道を選び直すことは出来ますが、注意しておくべき点は注意しておきましょう。
高校を卒業してから「さて何をしようか。
卒業式が終わってから考えよう」とのんきなことをいっている人はいないでしょう。
しかし、進路が決まっていない、決められなかったという人は案外多いのが現状です。
文部科学省が発表した22年度の学校基本調査によると、22年3月に高校を卒業した者のうち、大学・短期大学・専門学校等へ進学した者はおよそ7割、就職に関しては15.8%で約17万人です。問題なのは残りの数値。
アルバイトやパートなど「一時的な仕事に就いた者」は1.5%=約1万6千人。
家事手伝いや、進路が未定な者などをあらわす「進学も就職もしなかった者」は5.6%=約6万人もいました(ただし海外への進学者も含まれます)。
人それぞれいろいろな事情があると思いますが、高校卒業は人生のひとつの節目です。
好きなこと、楽しいことを在校中にみつけ、進学にしても就職にしても、次への進路に胸を高鳴らせながら卒業を迎えてほしいものです。
アルバイトという言葉はドイツ語の「労働」に由来します。現在の日本では、学業や本業のかたわら収入を得るための仕事をすることを示し、未定職に対する言葉として使われます。
今「フリーター(フリーアルバイター)」とは、15~34歳までの学生と、結婚している女性を除く若者のうち、パート・アルバイトの仕事をしているか、パート・アルバイトを希望している無職の人(厚生労働省定義)という意味です。
フリーターになる原因には「希望する就職ができなかった」「やってみたいことや目指す仕事がみつからない」「とりあえず」など、さまざまなことが考えられます。
しかし、安易にアルバイトや契約社員などフリーターになってしまうのはとても危険です。
採用する企業は、社員を採用するより人件費が安上がりという事情からアルバイトを募集しているところが大部分です。
いざという時、その身の保障は誰もしてくれないでしょう。
また、企業の教育訓練は正社員中心であり、フリーターには十分な教育訓練が行われないため、その後正社員(正規雇用)になることはかなり難しいといわれています。
また、フリーターより条件がよく、比較的自由がきくワークスタイルとして人気があるのが、派遣社員です。
派遣社員は、専門の派遣会社に登録をした後、さまざまな会社に一時派遣され、そこで実際に働きます。給料は派遣会社からもらいます。
普通の正社員と違い、働きたい職種や期間、勤務時間などの条件を派遣会社に指定して、その条件にあった仕事を紹介してもらうので、たとえば資格を取る勉強をしながら働きたい場合や、自分に合った仕事を探そうとしてさまざまな仕事を経験してみたい場合など、生活に合わせて仕事の調整がききます。
ですが派遣社員もまた、不安定な立場にあることは変わりません。
フリーターよりは良いとはいえ、正社員に比べれば給料や待遇も落ちますし、派遣先の経営状態が苦しい時などは、やはり契約を解除されてしまいます。
2010年版の労働経済白書は、「労働者派遣制度の規制緩和が非正規雇用を増やし、結果として所得格差を広げた」と明確に指摘しています。
自分に合った仕事を探すために多くの職種を経験している人もいます。また、自分が本当にやりたいことのため、定職につかない人もいます。
高校を卒業してからの進むべき道を在学中に決めるのは、大変なことです。
決められたレールだけが人生の選択肢ではないので、一度社会に出てから時間をかけて自分の将来を考えることも大切なことです。
ただし、生涯賃金では高卒の正社員2億5千万円に対し、フリーターは5千万円という集計があります。
この金額の違いは考慮しないといけません。
フリーターにせよ派遣社員にせよ、長く続けることは難しい、厳しい道であることを自覚しておかなくてはならないでしょう。
ニートとは「教育を受けず、労働を行わず、職業訓練にも参加していない若者」を意味する「Not in Education,Employment or Training」の略語です。
1990年代末のイギリスで生まれた言葉で、日本の厚生労働省の定義では、15~34歳の年齢層の非労働力人口の中から学生と専業主婦を除き、求職活動をしていない者を日本における若年無業者(ニート)と定義しています。
厚生労働省の推計では、およそ63万人(2009年)に達しているとされています。
ニート増加の一因に、企業が即戦力を求める一方で新卒採用を絞った結果、就職が難しくなったためということがいわれます。
また、2008年リーマン・ショック以降の経済危機や2011年の東日本大震災もそれに拍車をかけそうです。
ニート層の年齢別分布を見ると15歳から24歳に多くなっています。
「就業に向けた活動を行わない(行えない)理由」で最も多いのは「病気や怪我の療養で活動を行えない」です。
しかし「不況の影響で求人がない」「雇用のミスマッチ」など、社会的な要因によるものも多く、増加傾向にあるという調査結果があります。
また、仕事をしなければ生きていくことができなかった昔と違い、現在では親がかりで生活できる環境にあることがニート増加の一因になっているとの指摘もあります。
しかし、生活の面倒を見てくれる保護者がいつまでも健在であるとは限りませんし、親の収入も限られています。
卒業後の大事な時期を棒に振ってしまうことにもなります。
ニートにならないためには、在学中から自分の「適性」や「やりたいこと」を見極め、目的意識を持って積極的にスキルアップを図る必要があります。
保護者も子どもを甘やかすことなく、働く重要性を伝え続けなければなりません。
ただ、無理にせかすことは禁物です。
こちらも腰をすえて話し合い、お子さまの本当の意見や気持ちをきちんと受け止める必要があるでしょう。
| 正社員 | 派遣社員 | フリーター | |
|---|---|---|---|
| 雇用契約 | ・フルタイムで就業 |
・派遣先との派遣契約と、雇用先との雇用契約、2種類の契約を結ぶ ・各企業には期間限定で派遣 ・労働時間・期間などの条件は雇用先に考慮してもらえる ・ 任期満了時、派遣先の正社員に取り立てられる場合もあり |
・短期または期間限定 ・自分の都合も比較的考慮してもらえる ・正社員に取り立てられる場合もあり |
| 平均月給 | 29万9100円 | 19万4400円 | 16万4900円 |
| 労働日数 (1ヵ月当り) |
・1日8時間労働(ただし時間外労働含まず) ・完全週休2日(1ヵ月22日勤務)または隔週土曜休日が多い |
・1日8時間労働(ただし時間外労働含まず) ・完全週休2日(1ヵ月22日勤務)または隔週土曜休日が多い |
・基本的には日曜日のみ休日(企業により異なる) |
| ボーナス | あり | なし | なし |
| 休暇 | ・会社のカレンダーで定めた休暇、年・・次有給休暇など ・有給休暇は年次増 |
・派遣先の会社のカレンダーで定めた休暇、年次有事休暇など ・ 有給休暇は年次増 |
・会社の規定通り |
| 各種補助手当等 | 支給形態は異なるが補助手当あり | ある程度の補助手当あり | 課金手当を出すところもある |
| 昇給制度 | 毎年定期昇給制度あり | なし | なし |
| 健康保険 | あり(雇用主半額負担) | あり(派遣元の健康保険を適用) | なし(個人として国保に加入) |
| 労災保険 | あり(雇用主全額負担) | あり(派遣元の労災保険を適用) | あり |
| 雇用保険 | あり(雇用主半額以上負担) | あり(一定期間その派遣先に勤務するなど、条件を満たす必要あり) | なし |
| 退職金制度 | 普通は3年以上勤務した場合、継続年収に応じて支給 | なし | なし |
| 福利施設の使用 | あり | 派遣先の福利施設は利用可能 | なし |
| 所得税・住民税の 申告手続等 |
給与支払者がすべて行う | 雇用先が行う | アルバイト先で概算納税のための確定申告が必要 |