就職|保護者のための進路設計

社会に生かす自分の力、就職。

復調の兆しが見えた高卒就職状況に、暗い影を落とす震災の影響

世界規模の景気の低迷から3年を経て、ようやく日本でも雇用に関して改善が見られてきました。
そんな中、3月に東日本が震災に見舞われたことで社会が混迷。
今後の就職にどう影響するかわかない状況です。

内定率急落に歯止め、就職内定率はやや上昇

2002(平成14)年から2007(平成19)年にかけて、高校生の就職状況は一時期の厳しい時期を乗り切り、ゆるやかな回復状況にありました。
07年度あたりは、団塊世代の大量退職によって若い人たちの雇用が増加し、「第2次就職バブル」と呼ばれたほど好調でした。
しかし、2008(平成20)年に起こったアメリカの金融危機に端を発した世界的な不況が、状況を一変させました。

その後、日本でも景気が低迷し2年間就職率は下降線を描いていました。
しかし、ようやく内定状況が上昇し、復調の兆しを見せています。
先頃の震災がどこまで今後日本経済に影響を及ぼすか未知な部分が多いですが、今年度に限れば、被災地で内定取り消しの報道があったものの全体には大きな影響は出ておりません。

文部科学省がまとめた平成23年3月卒業予定者の就職内定状況(平成23年3月末現在)の調査報告によると、就職内定率は93.2%で、前年同月比を1.6ポイント上回りました(右図参照)。
19年度より下降の一途をたどっていた雇用情勢が底を打ったかたちになります。
男女別では男子95.1%、女子で90.6%で、前年同期をそれぞれ1.0ポイント、2.4ポイント上回りました。
就職希望者のうち、卒業までに就職に至らなかった者は約1万2千人(昨年同期は約1万5千人)となっています。

■ 新規高等学校卒業者就職内定状況

新規高等学校卒業者就職状況

すべての分野で内定率が改善、「看護」分野で高い伸び率

学科別にみてみると、就職内定率の高い順い順に「工業」(97.8%)、「福祉」(96.2%)、「農業」、(94.9%)、「情報」(94.9%)、「商業」(94.3%)、「水産」(94.3%)、「総合学科」(92.8%)、「家庭」(92.0%)、「普通」(88.8%)、「看護」(84.2%)(その他の学科は除く)となっています(下記表)。
すべての分野が上昇に転じた今年度ですが、「看護」がもっとも高い伸び率を示しています。

このようにようやく回復してきた就職状況ですが、残念ながら先の震災の影響によって今後どのように変わっていくか不透明な状態です。
現在では、多くの企業が採用スケジュールの延期を発表し、また採用人数削減への懸念の不安も広がっています。
就職率の回復が今後も維持されるどうか、予断を許さない状況です。

■ 平成23年3月新規高等学校卒業予定者の就職内定状況(学科別・男女合計)

学科名 卒業予定者数
(人)
就職希望者数
(人)
就職希望率
(%)
就職内定者数
(人)
就職内定率
(%)
前年同期
就職内定率
(%)
前年同期比
増減
(ポイント)



普通 773,923 64,448 8.3 57,224 88.8 86.6 2.2
農業 27,419 14,221 51.9 13,499 94.9 93.6 1.3
工業 83,465 51,020 61.1 49,913 97.8 97.0 0.8
商業 69,679 28,656 41.1 27,010 94.3 93.0 1.3
水産 2,719 1,678 61.7 1,583 94.3 93.3 1.0
家庭 13,583 5,106 37.6 4,696 92.0 89.5 2.5
看護 3,514 158 4.5 133 84.2 80.8 3.4
情報 1,399 391 27.9 371 94.9 94.9 0.0
福祉 3,029 1,455 48.0 1,399 96.2 94.9 1.3
その他 32,046 1,701 5.3 1,568 92.2 91.0 1.2
総合学科 51,225 13,657 26.7 12,670 92.8 90.7 2.1
1,062,001 182,491 17.2 170,066 93.2 91.6 1.6

3年間で約半数が離職、就職前の企業研究が大切

高校生の就職に関して問題視されていることの一つが離職率の高さです。
高卒者の10人に1人は半年以内に、3年間では約半数が離職しているというデータもあります(右図)。
転職先がすぐには見つからないため、フリーターを余儀なくされる若者も増えています。
求職者(高校生)の求める仕事と、求人者(企業)の期待する役割のギャップがこのような現象を引き起こしているものと思われます。

ある調査によると、現在積極的に高卒者を採用しているのは、「高卒者でも十分にこなせる業務」の企業と、「より若いうちから企業固有の技術者を育成する必要がある」企業の、大きく分けると2種類の企業があるという結果が出ています。
したがって、その企業が何を求めているのかを確かめずに就職してしまうと、やりがいを見い出せず、離職の原因となることが考えられます。

■新規高卒就職者の離職率の推移

新規高卒就職者の離職率の推移

厚生労働省調べ

採用抑制は今年度も続く可能性が高い、この状況だからこそあきらめは禁物

不景気からなかなか脱せない状況に、先頃の震災の影響が加わったことで、今後の就職戦線も厳しさが続く可能性が高いです。
現在、震災まもなく、社会全体が混乱をきたしている状態であり、事態が終息するまでまだ時間がかかりそうです。
ですので、今年度の就職活動にどういう影響が出ているか、ニュース等にアンテナを立てておいてください。

今後の先行きに不安を覚える方も多いと思われますが、このような状況だからこそ、生徒の方々はきちんとした知識・技術・経験を身につけることが大切かと思われます。

状況は厳しいですが、この苦境にあきらめてしまうことなく、目標に向けてこれまで以上に粘り強く頑張れるかどうかが、これから問われてくるでしょう。