

所澤 保孝人間発達学科 学科長
神奈川県の西の端、箱根の麓、小田原で育った自然愛好家です。人間発達学科では教育学系の科目を中心に担当しています。専門は教育学で、幼児教育、国際教育や外国との比較教育、学校経営と教育の安全等に関心を持っています。アメリカの大学に長期間留学していたので、アメリカの文化や教育にも強い関心を持っています。

「幼児教育・子ども学研究」と聞くと、なにやら難しいことをするのではないかと思われるかもしれませんが、要するに、子どもの教育、保育、子どもに関する専門家になることを目指している学生に必要な、子どもを理解するための知識や保育の技能、自分がもっと深く追求したい
と思っているテーマ等についてお互いに楽しく学び合って行きましょうというものです。専門家としての得意な点(ウリ)をつくり、皆さん自身の自信や価値を高めることを目指しています。
大学に入ったら決められたカリキュラムに沿って与えられた知識を学ぶばかりではなく、自分の興味のあることをもっと追求してみたいと思っている人も多いと思います。ゼミナールはそのような人のためにあります。
学生が中心になって少人数で文献の学修・討論をしたり、先輩や経験のある者を交えて実践技能の研究をします。合宿で生活を共にしながら語り合い、親睦を深めて仲間意識を高めてゆくことも大切です。
また、3、4年生が合同で集まる「縦割り」での学修や、経験や情報等の交換も欠かせません。
ここでは幼児教育や子どもに関する知識および考察を深め、自分のテーマを見つけて掘り下げる研究能力の養成を目指しています。
ゼミでは各自が疑問を挙げることから始め、それに対する推論を立てて証明法を考えるトレーニングも行い、研究する力を高めていきます。
たとえば「子どもはなぜ砂場遊びが好きなのか」といった自分なりの疑問を出発点に研究の方向性を探り、的を絞って、卒業研究へとつなげていきます。
具体的な学修は学生による発表・議論の形で進めますが、この流れの中で常に念頭においてほしいのが、「しつけ」と「思いやり」の問題です。
特に他者を思いやり、相手の心を想像する力は相互理解の上に立つ人間関係の基礎でもあり、3〜5歳の間に育てなければならないもっとも大切なもの。同時に私たちが子どもに接する時の基本でもあります。しつけと思いやりについて両者の関係性も含めて考察しつつ、幼児教育を志す者としての素養を磨きます。小さな子どもに関わるものとして大切なものは何なのか。ゼミ生は自分たちなりの答えをゼミでの学びを通してつかんでいます。
わが国ではいろいろな対策を行っているにもかかわらず少子化に歯止めがかからず、このままでは社会の存続そのものが危うくなる事態に突入しています。
社会全体で子育てを最優先事項にして真剣に取り組まなくてはなりません。
私たちの人間発達学科では昨年カナダのライアソン大学からマーサ・リー・ブリックステッド先生をお招きし、カナダの子育てと家族支援についてお話を伺いました。講演会でマーサ先生のお話を伺っているときに、私は13年前に在外研究で家族と共に過ごしたカリフォルニア州ウッドランドヒルズでの生活を思い出しました。
私の家族にとっては異文化の中での生活は初めての経験で、特に小さい子どもを連れての外国生活は日々困難の連続でした。スケールの大きな自然災害をその中心地で経験し、小さな子どもを抱えた外国人の親としては不安の連続でもありました。家族と共に生活したおかげで、私一人では決して経験することのできない、アメリカのナーサリー、Kクラス、公立小学校等を、保護者としてつぶさに観察することができました。
子どもの教育、病気、安全、異文化間で生じる子育てに関するさまざまな習慣や解釈の違いなど、まさにマーサ先生がお話しになった子育てと家族支援の必要性の原点を体験した一年でした。