分野別ガイドブック No.6
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6■ファッションビジネスのアウトラインファッションビジネスのアウトライン 衣服や身の回りのファッショングッズを販売する小売業は、百貨店・専門店・量販店(スーパー・アウトレット店)・一般衣料店に分かれますが、このほかに、店舗を持たないカタログ・インターネットなどの無店舗販売もあります。ファッションに関連する産業としては、ファッションビルやテーマ性を加えた郊外の大型複合商業施設などのショッピングセンターやアウトレットモールも定着しています。 日本のアパレルメーカーで代表企業といえば、オンワード樫山、ワールド、グンゼ、ワコール、イトキン、ナイガイ、ファイブ・フォックス、アダストリア、TSI、ベイクルーズ、三陽商会、しまむら、そしてファーストリテイリングといった会社が挙げられます。これらの企業は、すべての製品を自社工場で生産しているわけではありません。海外提携品やオリジナル商品などは、自らの企画室でパターンを起こし、それを海外の系列の工場で生産している場合が多いのです。 日本のアパレル企業は世界的にも質・評価が高く、デザイナーも世界に通用する人材が次々と輩出されました。一方では、ユニクロ(ファーストリテイリング)をはじめとした低価格で最新流行の新商品を次々に投入するファストファッションが主流となり、百貨店ブランドは苦戦を強いられています。 トレンドをおさえ、かつ品質の良い商品を求める日本の消費者を引きつけるために、次に必要なものは何か。現在のプロパーとセール販売は有効なのか。プラスアルファのアイデアが日本のアパレルメーカーに求められています。チャンネル」「QVC」も主力商品は女性向けアパレルとインナーウェアです。テレビを視聴しながらの注文方法は電話とインターネットですが、売上高は両社とも1,300~1,600億円規模に成長しています。異業種参入で活性化へ 2020年からの新型コロナウィルスの世界的な感染拡大で、アパレル業界も大きなダメージを受けました。さらにテレワークの普及でビジネスウェア需要が大きく変わろうとしており、ブランド再編も今後の課題となります。 そのような中でも好調なのが、2018年から一般向けカジュアルブランドを立ち上げた作業服メーカーのワークマンです。「数年かけて商品売り切り」「低価格設定でセールなし」といったビジネスモデルも含めて、作業服の機能性を日常生活に活用するというコンセプトが消費者の心をつかんでいます。また、女性向けウェア店舗やコロナ禍以降人気のアウトドアレジャーを手軽に始めるウェアとしても支持されています。同社の成功により、異業種からのビジネス・カジュアルウェアの新規参入が続いています。 ファッション・アパレル業界は、大きな岐路に立っています。ネット通販がさらに進化 インターネットのインフラが急速に進んだこともあり、アパレル業界と関係性は年々強くなっています。既存サイトの進化の他、大手流通、カタログ通販企業、大手アパレルなどにとっても、ネット通販は欠かせない販売手段の一つとして確立しているといえます。 アパレルがネット通販に不向きと考えられていたのは、試着ができない、送料が必要といった通信販売共通の弱点に加えて、画面が小さいという欠点が懸念されたからでした。しかし、現在はスマートフォンやタブレット端末等の普及により、より鮮明な画像で商品を閲覧することが可能になりました。また、購入金額によって送料を無料にする企業も登場し、さらに、各ブランドはECサイトでショップスタッフのコーディネート画像をアップしたり、新商品紹介を動画のライブ配信で行うなど、ネットでの売り方を工夫しています。一方でVRやARを利用したアプリもあります。欲しい服をカメラの映像上で試着でき、人気を呼んでいます。他にも、SNSや雑誌などに掲載されたファッション写真を送るだけで同じ服を見つけてくれたり、AIがコーディネートをするアプリなどにも注目が集まっています。 さらに、ケーブルTVやCS放送などで視聴する19~24時間生放送のTV通販チャンネル「ショップ

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