中学2年生のときに母が入院しました。病院では、患者だけでなく私たち家族に対する看護師さんの心配りが印象に残り、身近に感じたこの職業を「いいな」と思うようになりました。地元には高校入学から看護師の専門教育を受けられる、全国でも珍しい“5年一貫校”があったことも志すきっかけになり、迷わず「将来は看護師になる」ために高校へ進学しました。3年間は、一般的な学業と看護の専門授業の半々でしたが、私にとっては看護の授業の方がとても楽しく、熱心に勉強したと記憶しています。4年目からは専門教育に特化した2年間となり、20歳の卒業時に看護師の国家資格を取得しました。「看護師は3年で一人前」と次の目標 就職のために上京し、慣れない土地での一人暮らしも始まりました。最初の病院は同期も含めて年上の看護師ばかり。学校の教科書とは違い、現場は実習の延長線上にはないことを痛感しました。それでも、「今の自分には何が出来るだろう」と考え、工夫して「わからないことは先輩に聞く」環境づくりを心がけました。注射の練習も先輩に付き添ってもらい、高度な専門知識を持った多忙な看護師にも教えを請いました。 看護の仕事は3年で一人前と言われます。一人の看護師として他の病院を経験し、より知識を深めて現場で活躍したいという思いに至り、救急に特化した南多摩病院に転職しました。病院の理念に共感し、忙しい現場もいいな、と感じていました。 私の担当する救急棟は、急性期の患者さんが病気の診断を受けた後に療養する病棟です。内科・循環器科が中心で短期間の方が多いのですが、心臓疾患など長期療養の方もいるので、さまざまな人生の経過を見届けられる職場でもあります。「ありがとう」の言葉に励まされて7年目となり、現在は後輩の指導も担う立場となりました。「大丈夫?」の声掛けは、その状況でなくても「大丈夫」と返してしまうケースも見極めて、職場での“対話”を何より大切に心がけています。看護師をめざす高校生のみなさんへ 看護師は、働き方を選べる専門職です。希望の診療科を究めることもでき、急性期、慢性期、介護などの選択も可能です。認定看護師など新たな知識を学んで経験を活かす一方、当院では出産子育ての時短勤務も導入しています。さらに企業や保育園でも需要があり、60代70代も活躍できる職業です。 看護実習中に「自分は何もできていない、患者さんのためになっていない」と不甲斐なさに悩む学生もいますが、「今はできないのが当たり前なのだからプロの看護師と比較しなくて良い」と伝えています。学生のうちは一人の患者に寄り添える時間を大切に、できないことや不安なことも、続けることで強みに替わる時は必ず来るので、看護師となったら患者の命の責任を持ち、ともに頑張っていきましょう!─ 5 ─鹿児島県出身。地元の中学校を卒業後、学校法人神村学園高等部看護学科(5年一貫校)へ進学。20歳で看護師国家資格を取得して上京。都内の病院勤務を経て南多摩病院へ入職。救急棟病棟を担当し7年目。医療法人社団永生会 南多摩病院(東京都八王子市) 東京都指定二次救急医療機関。救急に特化した地域医療機関として、ベッド数170床、年間5000台の救急車受け入れ、外来患者は1日570名。医療法人として急性期・慢性期・介護・在宅医療20施設を事業展開。医療法人社団永生会南多摩病院看護師(救急棟4・5・6階病棟 主任)(神村学園高等部看護学科卒業)救急棟の看護師として患者や後輩に心を配る巻頭メッセージ 業界で活躍するプロフェッショナルから高校生の皆さんへ看護実習の延長線上にない医療現場先輩に学び 研鑽を積んで後輩を導く立和名 麗 さん中学生で看護師にあこがれ最短ルートで国家資格を取得
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