ギター製造・リペア&工房経営のスペシャリストに聞きましたGEN GUITAR STUDIO株式会社GEN GUITAR STUDIO株式会社代表取締役社長代表取締役社長わたなべ ともひろ▶1978年富山生まれ埼玉育ち。県内の高校を卒業後、バンド活動を通じて楽器に興味を持つ。1999年ESPギタークラフト・アカデミー(GCA)へ進学、2001年卒業。その後はアルバイトで事業資金を捻出して2001年東京・新大塚にギター工房「ギター工房 弦」を創業。ギターリペアとオリジナルギター製造の店舗を経営し、近年は帝人(株)の新素材を使用したギターの開発など質の高いギター技術者として活躍中。 大学浪人中にバンド活動を始めたのが、現在の仕事への出発点となりました。当時から、演奏よりも楽器そのものに興味を持っていたのかもしれません。20 歳のときに ESP ギタークラフト・アカデミー(GCA)に進学し、本格的にギター製作とリペア技術を学びました。1年目は規定のエレキギターを、2 年目には自由作品のアコースティックギターを製作しました。一般的な市販品よりも細部のデザインにこだわった作品でしたが、最後の塗装乾燥中にギターが落下して破損してしまい、それでも単位認定されて無事に卒業できました。そのアコースティックギターは、後に人気商品となった某メーカーのモデルに近く、合理的に設計されていたと思います。デザインのヒントは当時の情報源だった音楽雑誌が参考になりました。卒業後多くの学生は楽器関連の企業に就職しますが、私はメーカーでの部分的な作業担当ではなく、ギター製造やリペアを自分の手でイチから手掛けて一人で完結させる仕事をしたい、と希望していました。卒業後はアルバイトでお金を貯めて、1 年足らずで自分のためのギター工房を持ちました。工房を営むには作業時の機械音やシンナー臭などの条件があって物件探しは難しかったのですが、ちょうど GCA から池袋までの散歩中に偶然、現在の店舗を見つけて、即決しました。都心の交通の便も良い立地に恵まれたことも、ラッキーだったと思います。作業を一人で完結させる、とはいっても創業当初は未だ技術に乏しく、安価で修理を請け負 バンド活動で楽器の魅力に触れギター専門校へ進学「部分的にではなく全部をやりたかった」卒業後 1 年で自分の工房を持つ責任感を持って修理に取り組み信頼を得られるよう日々技術を磨く楽器は物理 技術を数値化してシンプルな“修理手段の伝承”を目指す渡部 智弘 さんさん渡部 智弘
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