ここでは、食・栄養系業界の、海外における最新ニュースや動向、流行、活用・応用技術についてわかりやすく紹介します。コーヒーは、干ばつなどの影響で豆の収穫量が減少するなど、生産・供給に不安定な要素が多いです。このコーヒー生産に伴う環境問題に対して、一つの打開策となり得る、植物細胞から作る「細胞培養コーヒー」研究開発が進められています。フィンランドでイノベーションを促進するVTT研究機関の開発では、コーヒーの細胞を培養し、細胞株を確立した後、大型の鋼鉄製の容器「バイオリアクター」内で細胞の合成・分解・生産を行い、バイオマスが出来上がったら乾燥させ、加熱して焙煎。焙煎後は従来のコーヒー粉末のように見え、コーヒーフィルターに入れてお湯で抽出することを可能とし従来のコーヒーと同じく様々な味や香りの再現に成功しています。 (参考:料理通信)現状のフードロス問題を改善すべく、イギリスのBEYOND BELIEF BREWING社は、ビールの新しい製造プロセスの特許を取得して麦芽の50%を廃棄パスタで代替したアップサイクルビールを製造しています。規格外のものや変形しているものなど、廃棄となるパスタを食品メーカーから引き取って原料として使用し、様々な種類のパスタを使ってビールに色味などの特性を与えています。1本の缶ビールで、およそ1食分のパスタを廃棄から救っているといい、フードロス削減に加え、通常のビールと比べて大麦の使用量を削減することで、大麦の栽培や麦芽を作る工程で発生する二酸化炭素の削減も実現しています。 (参考:食品と開発)近年、欧米において”TOFU(トーフ)”の名で親しまれる豆腐の市場が拡大しています。ヴィーガンやベジタリアン層の増加、健康・環境志向の高まり、アジア料理の人気の影響もあり、豆腐は日常的な植物性たんぱく源として浸透しつつあります。現地のライフスタイルや食文化に合わせて、豆腐の扱いに不慣れな消費者にも配慮し加工や味付けに工夫がされており、「スライスするだけ」「焼くだけ」といった簡便な商品が多く見られます。今後も、現地ニーズや嗜好に即した商品開発が進み、健康志向や持続可能性のニーズとともに豆腐の市場は拡大していくことでしょう。 (参考:食品開発ラボ)22 最新海外動向細胞培養 生産が不安定なコーヒーを持続可能に豆腐製品 海外で市場が拡大している“TOFU”フードロス 廃棄になるパスタをビールの原料に食・栄養系業界の、食・栄養系業界の、最新海外動向最新海外動向
元のページ ../index.html#22