分冊7 25年1月トンボなし
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28 大手声優事務所の青二プロダクション(以下青ニプロ)と、AIを活用し音声の利用・変換サービスを提供するベンチャー企業CoeFont(コエフォント)は、2024年10月にパートナーシップを締結しました。両社は今後、AI音声技術を活用したサービスのグローバル戦略を展開し、青二プロに所属する声優たちの音声データを、CoeFontのAI音声技術によって、英語や中国語をはじめとした多言語化を行います。 AI音声技術関連では現在、特定の声優や役者などの声を勝手にデータ化して盗用する権利侵害などが懸念されており、正しいAI活用のあり方が問われています。青二プロとCoeFontは、AIの脅威にのみ注目するのではなく、演者の権利を適切に守りながら、魅力的な声を持つ人たちの声の可能性を高めるための第一歩を踏み出す必要があると判断し、今回の提携に踏み切りました。 この事業展開における第一弾として、青二プロからは野沢雅子さんや銀河万丈さんといった大ベテランをはじめとする10名の声優が参画します。野沢さんたちの音声はAIによって多言語化され、「Amazon Alexa」や「Googleアシスタント」のような音声アシスタント、ロボットや医療機器の音声ナビゲーション搭載製品などへ提供される予定です。これにより、CoeFontではグローバル市場における音声認識技術の普及や社会福祉に貢献し、より多くのユーザーに親しみのある声でサービスを利用してもらうことを目指しています。 一方で、AI音声のアニメ番組や映画における吹き替えなどの利用はしないとのことです。作成するのはあくまで「演技」の領域を除いた音声で、AI音声技術と声優の活動領域の棲み分けを適切に行うとのことです。CoeFontでは声の持ち主の権利を第一に、AI音声の活用の可能性を探っていくと公言しています。(参照:CoeFont公式プレスリリース)声 優「あの声」が外国語になって海外へ!大手声優事務所とAI音声企業が提携

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