分野別ガイドブックNo.2
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 2010年代にニューヨークで再興し、日本にも上陸した“バーバーカルチャー”。古き良き欧米文化漂うインテリアで男性の身だしなみを整える場は、街の理容室とは一線を画し、新しいスタイルで“男のおしゃれ”をトータルに発信し続けています。 その中でも2015年原宿にオープンし、大阪や福岡、ロサンゼルスにも店舗をもつ「ミスターブラザーズカットクラブ(MR.BROTHERS CUT CLUB)」は、日本におけるバーバーカルチャーをリードするサロンのひとつです。同社が2023年から新たに、アフリカのガーナでバーバー育成の教育施設を、現地で雇用創出を支援するNPO法人と協働で運営するプロジェクトを始動すると発表しました。 ガーナの人々は2週間に一度は散髪に通い、ヘアスタイルに強いこだわりをもっているにも関わらず、技術者のトレーニング環境がなく、理容師の国家資格もありません。そのため、職業としての地位や理解が得られないという課題があります。日本の理容師が中心となって高度な理容技術と文化をガーナで伝授し、卒業後の就業支援を行うという取り組みです。 理美容技術の国家資格のない国や地域は他にもあります。海外に進出して養成施設を運営し、現地で卒業後の雇用サポートを行うのは新しい動きです。禍シリーズこう変わる非接触」35ヘアサロン×ドラッグストアヘアサロン×ドラッグストアユーザー目線の新サービスユーザー目線の新サービス 化粧品やシャンプー・コンディショ化粧ナーを、ドラッグストアで購入する人も多いと思います。たくさん陳列されていて迷ってしまう、どれが自分に合うのか試してみたいということもあるでしょう。そんな消費者の悩みに対し、美容のプロの立場からアドバイスをする新しい業態の「ヘアサロン×ドラッグストア」併設店が一部地域でオープンしています。 九州と沖縄に展開する「ドラッグイレブン」は、調剤薬局併設(19店舗)よりも多い26店舗でヘアサロンを併設しています。サロンではカットのほかに店員のカウンセリングを受けながら、店舗の売り場にある染料やシャンプーなどの商品をサロンで試すことができるのです。美容師からホームケアのアドバイスを受ければ、商品の継続購入にもつながることでしょう。競合が低価格路線で勢力を拡大するのに対し、ヘアサロンなどの高付加価値で顧客満足度を高めようとしています。 美容師がもつ専門知識や技術は、多くの人を幸せにできます。ドラッグストアのような手軽に通う店舗内にヘアサロンがあれば、ヘアケア商品のおためし目的でシャンプー&ブローの顧客も増えるかもしれません。ユーザー目線の新サービスは、今後全国に拡大することが期待されます。日本の「理容技術と文化」の日本の「理容技術と文化」の海外進出はじまる海外進出はじまる年代注 目の 新 産 業理容・美容・メイク系の近未来“メイクのおためし”が“メイクのおためし”が画像上でシミュレーションできる画像上でシミュレーションできる コロナ禍以降、「非接触」がキーワードとなっている産業は多岐にわたりますが、化粧品業界にも新たなサービスが開発されました。化粧品メーカーの「コーセー」は、プロジェクションマッピング技術を利用した、自身がメイクしたかの画像を投影するサービスを銀座の直営店で行っています。美容部員のアドバイスと最新のデジタル技術の融合で、効果的にメイク製品を提案しようというものです。 メークシミュレーター「カラーマシーン」は、同社が東京工業大学と共同開発した3Dのバーチャルメイクを体験できます。店頭で直接顔にアイシャドーやリップを付けて次々と試すのは手間もかかり難しいですが、プロジェクションマッピングを利用することで、気軽に気に入った色のリップやアイシャドーが見つけられます。この技術はパーソナルカラー診断にも活用でき、その人に合った肌の色や髪色、服装やなりたい印象のメイクを見つける参考にもなります。 この技術がさらに進化すれば、手軽に誰でもメイクに挑戦できるようにもなるかもしれません。多様性を尊重する現代、年齢や性別にこだわらずメイクを楽しむきっかけづくりは、個々の幸福感にもつながる新しい産業といえるでしょう。今後に注目です。理美容技術と文化の国際化に新展開消費者目線の新サービスが続々登場

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