4 2022年10月11日、新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されました。これにより訪日外国人の増加が期待されるところとなり、東京都内だけでなく、全国の主要観光地においても外国人旅行者の数は増えているようです。さらに、全国旅行支援の実施により国内旅行者の数も増え、旅行・観光業界に復興の兆しが見えてまいりました。 一見すると明るい話題ではありますが、喜んでばかりもいられません。ここ数年、苦境に立たされた宿泊施設や観光地では、離職が相次ぎ、コロナ禍以前の人員を確保できておらず、人員不足が大きな問題となっております。お客様が徐々に増えてきても受け入れる側の態勢が整っておらず、需要過多になっている例も少なくありません。こうした状況のなかで旅行・観光業界でもデジタル化の重要性が叫ばれ、現場ではデジタル活用に適した人材の確保が求められております。 観光業界にとって、ここからが勝負所と言えるかと思いますが、まずは受け入れ態勢を万全にすることが急務です。そのためには、過去に働いていた方々が戻ってくることを待つだけでなく、新卒となる皆さんの意欲にも応じて、積極的な雇用を図るべきと考えます。 今、就職を考えられている皆さんを、観光業界では大いに歓迎します。ここ数年で観光業界も大きく変化し、まだ激動の最中にあるとも言えますが、激動の時代を生きる皆さんの柔軟性と、デジタル分野へのアクセシビリティの高さに多くの期待が寄せられているのです。 コロナ禍において、観光も様々な形を見せ、改めて裾野の広さを実感することも多くなりました。幅広い分野に及ぶ観光業界には、皆さんが各々の個性を発揮できる場面があります。また、お客様との繋がりだけでなく、異業種や他産業と共同で事業に取り組むことで培われる多種多様な経験は、皆さんの成長をより一層促進してくれるものと信じております。 まず、皆さんには是非とも地域に足を運んで、観光を楽しんで頂きたいと思います。そこで地域の魅力を感じることはもちろんですが、観光という行為そのものについても新たな気付きがあれば幸いです。 そして、観光を通じて地域の魅力を最大限に発揮すべく、皆さんがご活躍されることを心から祈っております。公益社団法人日本観光振興協会理事長くぼた みのる▶東京大学経済学部卒業後、1979年日本国有鉄道入社。1987年にJR東日本に移行し、千葉支社総務部長、本社人事部担当課長、事業創造本部部長、ジェイアール東日本企画常務取締役を歴任。2009年執行役員長野支社長に就任後、信州DCにおいて、長野県の観光による地域活性化を推進する。2011年より㈱ジェイティービー常務取締役に就任、地域交流ビジネスを担当、2016年6月より副理事長、2020年6月より現職。観光・語学・国際・ビジネス系をめざす人へ久保田 穣 さん「観光」を通じて地域の魅力を最大限に発揮していきましょう!
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