分野別ガイドブックNo.6
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 脱炭素社会へ向けた世界的な潮流 脱炭素社会へ向けた世界的な潮流を受け、アパレル業界では製造工程でCO2排出をおさえた新しい素材が開発され、製品化が進められています。 長野県では、りんごジュースやシードル(りんご酒)づくりの過程で生じた「絞りかす」から、合成皮革を創り出す「りんごレザー」を開発、トートバッグが製品化されました。海外では「ビーガンレザー」としてすでに製品化されていますが、日本での製造・販売は初めてです。生産地の長野県飯綱町と県工業技術総合センター、地元企業、信州大学繊維学部が協働して製品化を実現しました。 またアシックス「オニツカタイガー」がメキシコの企業と協働開発し、サボテン由来の素材を使用したアッパーを使用したシューズを発売しました。従来のアニマルレザーと比較して、製造工程でのCO2排出量を80%削減、製造時に残ったサボテンは食用として活用できるので、廃棄物を出すこともないそうです。 和歌山県の織物企業・岡田織物による高品質なエコファー(人工毛皮)素材は、今やヨーロッパの最高級ブランドも継続して採用しています。世界的なSDGsの動きは、日本の地方発・アパレル素材の高い技術に光を当てているのです。 コロナ禍による長期休業を経て、百貨店業界は大きく変化をはじめています。大規模な再開発による長期閉店、海外ファンド等への売却など、「このあとどうなるのか」が不透明な動きの中、いち早くeスポーツに参入した大手百貨店があります。 大丸松坂屋やパルコなどのJ・フロントリテイリングは、eスポーツプロチームの運営企業を買収しました。大会やイベントを開催して店舗に若者層を呼び込むことで、集客や購買につなげようと動き始めています。若者客が多いパルコでのイベント開催や、アパレルブランドとチームグッズの共同開発、プロ選手志望者向けのスクール事業やeスポーツ大会の運営受託なども検討しているそうです。従来の百貨店は若者の集客が弱いと言われていますが、今後発展の余地のあるeスポーツに参入することで、若者の店舗+ECサイトの集客やコト消費など、新たな収益にも期待が寄せられています。 さらに、アパレル大手のユナイテッドアローズやBEAMSもeスポーツに参入しています。ユナイテッドアローズはシューティングゲームのグッズ製作をサポートしてイベントで販売、BEAMSはeスポーツ日本代表ユニフォームを提供しています。若者への波及効果を狙っています。シリーズこう変わる 移動販売車といえば、山間部などの地域へ高齢者向けに食料品や生活必需品をトラックで販売に行く業態が主流でした。ところが、最近は東京都内でも、大手企業が中心となり続々と移動販売を行っています。 三井不動産グループの「ミッケ」は、グループが手掛けるマンションや商業施設、オフィスビルの敷地内で移動販売を行うための「販売車」や「什器・看板」「出店場所」「顧客情報」を提供しています。出店料を支払えば、商品と販売員だけで営業ができるため、SNSでのプロモーションで集客し、衝動買いが期待できるアパレル製品との相性が良いという検証結果もあるそうです。集英社はファッション雑誌のオリジナル商品を中心に、読者層に近い住民が居住する豊洲エリアなどで移動販売を行っています。 一方、アウトドアメーカー「モンベル」は奈良県に大型の直営店をオープンしました。コロナ禍でキャンプなどのアウトドア・ブームが到来していますが、都心よりも地方ショップの方が売上を伸ばし、好まれている傾向があるといいます。アウトドアライフをトータルで提案できるのは広大な敷地ならでは。売り方だけでも、工夫の余地があるということかもしれません。21日本発・脱炭素をめざした日本発・脱炭素をめざした新素材が世界で注目新素材が世界で注目ファッション・アパレル系の近未来注 目の 新 産 業百貨店・アパレル系企業が百貨店・アパレル系企業がeスポーツに続々参入eスポーツに続々参入都心でアパレルの移動販売車都心でアパレルの移動販売車地方に大型の直営店地方に大型の直営店SDGsで日本製の新素材が世界から熱視線「新しい売り方」を模索して顧客開拓が加速

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