6もともとファッションは、人類創生より身体保護等の機能としての衣服から、独自の文化や価値観、創造性を表す媒体として時代とともに変化してきました。日本においても19世紀中頃以降、洋装文化の拡大、高度経済成長期の大量消費に加え、日本人デザイナーの活躍。2000年代以降には、インターネットやSNSが普及したことにより、ライフスタイル全体のファッション化により、モノの購入、所有することだけではなく、そのモノのストーリー性や体験する「コト消費」への関心が高まりました。2020年代を迎えた現代においては、消費の多様化、地球環境問題、デジタルの普及によりファッションの在り方についても大きな転換期を迎えています。このような変化への対応として、従来のファッション産業とは異なるサービスモデルの出現やデジタル技術を活用した新たなマーケットの創造、バイオ技術等による素材革命等ファッションを取り巻く様々な「未来」の兆しが出てきています。これからのファッションを考えるにあたって「重要な10のキーワード」として、①需給ギャップを縮小させるビジネスモデル、②良いモノを長く楽しむファッション文化、③循環システムの構築、④質量のないデジタルファッション、⑤創造性の発揮を支援するテクノロジーの台頭、⑥創造社会の新しい市場ルール、⑦ラグジュアリー概念のアップデート、⑧ビジネスで留意すべきファッションロー(法整備)、⑩ファッションの未来に求められる人材論等が挙げられています。我が国が持つ豊かな芸術文化や伝統工芸、繊維産地のポテンシャル、デジタル技術やバイオ技術は、世界最高水準と言っても過言ではなく、いかにしてこれらを組み合わせ日本独自の創造性を発揮し、ファッションの「未来」づくりをリードしていくかが、日本における経済社会の持続的成長を考えるうえで重要といえます。これからファッション分野を志し、産業人として活躍される皆さんにも、このような取組みを知ることで、よりファッションの可能性や課題を深く知る機会となればと思います。これらの内容は、経済産業省商務・サービスグループファッション政策室主導のもと、「これからのファッションを考える研究会 〜ファッション未来研究会〜」報告書の一部分を引用、抜粋したもので、昨今の世界的に起きているファション領域の劇的な動きを踏まえて日本のファッションの強みを活かし、如何なる未来を描けるかを多角的に考えるため、デジタル、バイオ、デザイン、アート、ラグジュアリー、素材、投資等ジャンルと世代を越えた各領域のトップランナー34名の方々からの議論された「ファションの未来」の提言を纏めたものです。より詳しく知りたい方は、経済産業省より閲覧、ダウンロードできますのでご覧ください。一般財団法人日本ファッション教育振興協会事務局長青山学院大学卒業後、学校法人文化学園に入職。新卒次より就職関係部署にて学生支援、求人対応、インターンシップ等の就職支援全般に従事し、多くのアパレルメーカーと対応。その後、教務部門において授業関係、産学コラボレーション業務を担当。学務・広報部門では、職業実践課程への移行、日本人学生・留学生対応等に従事したのち、学園組織を再編に伴い専門学校、大学の就職業務を統合した「学園就職支援室」にて従事。ファッション系/アパレル系をめざす人へ吉野 真文 さん「ファッションの未来」に向けた10の兆候
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