スポーツの名門、早稲田大学には、野球、ラグビー、陸上などの体育会系クラブが44部あり、そこに在籍する学生はおよそ2500名といわれています。部員の中には全国トップクラスのアスリートもおり、常に身近にスポーツを感じられる環境があります。同大のスポーツ科学部はプロアスリートのみならず、指導者やトレーナー、スポーツビジネスの分野に至るまで多種多様な人材を輩出しています。トレーナーとしてアスリートを支え続ける同学部の平山邦明准教授から、スポーツを通じて学ぶさまざまな秘訣を聞かせていただきました。と期待しています。 スポーツをテーマにさまざまなことを吸収していくと、スポーツマインドが自然と身についてくるのですね。スポーツマインドというと“さわやかで誠実”といったイメージがあると思いますし、精神的に強くなるとか仕事や勉強をアクティブに続けられるというイメージもスポーツマインドとしてとらえられていると思います。こうした力や経験を在学中に積んでいくことで社会のリーダーになれる資質がそなわってくる、と考えています。大学生の間にしっかりとした土台を築き30代、40代になっても、どんどん成長するような人間に育てたいと指導にあたっています。 私も本学部の出身で二年間、国立スポーツ科学センターで働いた後、大学へ戻ってきました。トレーナーを志すきっかけとなったのは、ラグビーをやっていた高校生の時の挫折からでした。全国大会の前日、練習中に首を骨折して大会へ出場できなくなってしまったのです。当時の私はケガだらけで誤った努力をしていたことに気づき、正しい努力の仕方を教えられるトレーナーになって選手を支えたいと考えたのです。そうした経験もあってか「スポーツは人生の縮図である」と考えるようになりました。ケガもあれば失敗もある、ひとつの試合で終わりじゃない。そこから、また立ち上がれば良いだけだと。高校生のみなさんには失敗を恐れず、何事にも挑戦できる気持ちを持ってもらいたいです。“勝ち”を求めるということは、実は本気で努力する方法が分かるということではないでしょうか。3巻頭言 ● スポーツ科学部が本学に設置されて今年で20周年になります。スポーツ科学も変遷し、“パーソナルトレーナー”という考え方が広まってきました。たとえば、特定非営利活動法人NSCAジャパンというトレーナー系統の協会の会員も1万人を超えるにいたっています。 スポーツ系の学部を出ると体育教員になるというイメージを持つ人は多いと思いますが、本学部ではそれはひとつの道にしか過ぎません。“スポーツを通じて”という言葉にはさまざまな意味があり、スポーツをエンタテイメントとして魅力的にするビジネスですとか、選手のサポートをして素晴らしいパフォーマンスを引き出すなど、競技や選手に関わる直接的なこともあります。また、スポーツ科学は学際的で自然科学(医学・生理学や生体力学など)、社会学、人文学など多様な親学問が混ざり合い成り立っています。それらの学問をスポーツをテーマにした切り口から学んでいくこともあり就職先は非常に多彩です。 本学部はスポーツを経験して入学してくる学生の割合が多いものの、6つあるコースの中でスポーツビジネスコースの人気も高く、スポーツ経験がなく観戦が好きという動機で入学してきた学生もいるようです。 また、2025年度入学者の入試より「スポーツサポート歴入試」という枠を設ける予定です。スポーツ活動を支えてきた人たちを想定した入試枠です。こういった人たちはスポーツに対する気概もありますし、違った角度からスポーツを広げていける平山 邦明(ひらやまくにあき)早稲田大学 スポーツ科学部准教授2006年 早稲田大学 人間科学部 スポーツ科2011年 大学院スポーツ科学研究科修了2011年 国立スポーツ科学センター契約研究員2013年 早稲田大学スポーツ科学学術員講師2016年 早稲田大学スポーツ科学部准教授学科卒業スポーツは人生の縮図、ひとつの試合で終わりじゃない。早稲田大学スポーツ科学部准教授平山 邦明さん「「ススポポーーツツののたためめのの科科学学」」とと同同時時ににススポポーーツツ科科学学のの大大切切なな役役割割「「ススポポーーツツをを通通じじてて学学問問をを極極めめるる」の」のもも
元のページ ../index.html#3