Special interview ★ Yuichiro Sasakiきたお年寄りの中には、義歯(入れ歯)を持ってこれなかった人が多くいました。そのうちの一人の方が、惣菜や菓子パンをうまく咀嚼できず、大変困っていました。 私はその方の栄養状況を改善させるために、硬くなったご飯をとろみ剤とお湯で全粥にし、ふりかけ等をかけてみました。すると、毎日おいしいと召し上がってくれました。相手の抱える価値観を理解できるよう、常に心がけています―災害支援ナースとして、看護師として、佐々木さんが日々心がけていることはありますか? 人は痛い時、苦しい時、寂しい時にこそ、誰かの力を必要とします。その時に助けとなれるのが、私たち看護師であると思っています。そのためには、相手の方が何に苦しみ、辛く思うのかを理解することが大事で、それは病気やケガの話だけでなく、精神面の話でもあるので、さまざまな人が抱えている価値観を理解できるよう、常に心がけています。 災害支援ナースとして活動する時にも同様です。被災者の方々のそばに寄り添い、お話を「聞く」ことを優先して心がけています。誰とも話したくない方もいれば、不安が沢山あり、話すことで、気持ちが落ち着く方も大勢いらっしゃいます。相手に寄り添うこととは、今、相手にとって何が重要なのかを観察することが肝心です。お話をされたくないけど、そばに寄り添って欲しい方もいます。ただ黙って時間を一緒に過ごして、心の平静を取り戻してもらうことも大切な看護となります。あなたの気持ちは、たくさんの方々への助けとなるでしょう看護とは、人と人との関わりが主となるため、どんなケアも、対象となる全ての方々と心を通わせることが重要となります。しかし相手をどんなに知ろうとしても、自分の心が相手に向いていないと、相手も心に鍵をしてしまいます。人のためになりたいと心を震わせ、この世界に興味を持たれた皆さんへ。あなたの純粋な気持ちは、きっとたくさんの方々への助けとなるでしょう。いつまでも、その強い思いを大切にしてください。学校の勉強は大変ですが、必ず報われます。自分を信じて、夢へ邁進し素晴らしい看護師となってください。応援しています。ナース」という肩書きをお持ちですが、どのような活動をされるのでしょうか? 地震や水害などの災害が起こった時、都や国の要請に従って、現地へ行き、看護を中心とした仕事を行います。例えば、家を失った方が避難所で過ごす数ヶ月のうちに持病を悪化させないよう、薬剤調整、排泄の介助、バイタルの測定、健康観察などを行います。また、疲弊している方々には心身のケアも行います。 当時ノロウイルスが集団発生していた小学校のトイレを消毒、清掃したこともありました。被災者の方々が安心して避難所で暮らせるように努めることも、災害支援ナースとしての大事な仕事です。―活動を始められたのはいつからですか? 2011年の東日本大震災の時、福島県いわき市へ有志で災害支援活動に参加してからです。その後、東京都看護協会の講習を受けて災害支援ナースとなりました。―活動時の印象深いことをお話しください。 2016年の熊本地震の際、南阿蘇を訪問しました。全国や海外から現地にさまざまな支援物資が届いていましたが、夜遅くに避難して(協力:東京都看護協会)看護師をめざす高校生へのメッセージ
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