2025辻調理師専門学校
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Nacasa & Partners(photo)Nacasa & Partners(photo)『SUGALABO V』[ 永 浜 さ ん の 挑 戦 ] 永浜 良さんのロング・インタビュー 土地の人に愛され、土地の人を愛する店を、日本でも。宮城県生まれ。辻調グループ フランス校卒業後、東京・パリ・台湾などの有名店で研鑽を積み、2012年にブルゴーニュ地方ヨンヌ県『レ・ボン・ザンファン』のシェフに就任。2014年、同県シャブリに『オ・フィル・デュ・ザング』開業。その1年目にミシュランのビブグルマンを獲得。2020年2月、『SUGALABO V』のエグゼクティブシェフに就任。料理人を介して、生産者とお客様が思いを伝え合えるように。[大阪・心斎橋]ルイ・ヴィトンと『SUGALABO』(東京・オーナーシェフ須賀洋介氏)がコラボ運営するフレンチレストラン。『SUGALABO V』エグゼクティブシェフSNSが普及して料理の評価が見た目に大きく左右されがちな今だからこそ、学生時代にクラシックなフランス料理を深く学べたことに大きな価値を感じています。何百年間もつくり続けられているものからは、見た目ではわからない「味の本質」が学びとれる。最近でも、舞鶴産の天然の岩牡蠣を普通にポシェしてシャンパンのソースで仕上げてキャビアと合わせた時に、改めて「キャビアがこんなにもシャンパンと牡蠣の汁と合うなんて!」と、古くからつくり続けられているフランス料理の技法や組合せがいかに優れているかを再認識できました。何十種類もの柑橘類を手掛ける生産者を訪れた時 、私やスタッフの 注 目を集 めたのが 、江 戸 時 代からつくられている三 宝柑 。えぐみや酸 味 が 強く、一 般 的な消 費者ニーズとは真逆の果物です。でも、なくなってほしくない。うまく料理に使い、そのクセの強さを魅力としてお客様に伝えたくて…。長くつくられてきた食材を繋ぎ残していくのも、料理人の役割なのです。シャブリで独 立した時は、土 地の人と「 愛し、愛され」という関係が築けました。いずれは日本でもそうした店を開きたい。都心でなく地方で、“半径30km圏内でとれた食材しか使わない店”が理想です。 P R O F I L E116私自身が産地を訪れて旬の食材を厳選していますが、生産者のこだわりや情熱にはいつも胸を打たれます。そうした生産者の思いを、実際に料理を食べるお客様にも伝えたい。同時に、料理を食べたお客様の反応を、生産者にも届けたい。生産者とお客様との間に立って積極的なコミュニケーションを心がけ、それぞれの思いを繋いでゆくのも、これからの私たちの役割だと考えます。何百年もつくり続けられてきた料理を学ぶ価値。生産者とともに旬の食材の魅力を追求する日々のなかで、フランス料理の「本質」を再認識。永浜 良 さん

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