『一本杉 川嶋』[ 川 嶋 さ ん の 挑 戦 ]石川県生まれ。短大を卒業後、辻調グループに入学。卒業後は大阪の『割烹 錦水』『老松喜多川』、京都の『桜田』といった日本料理の名店で腕を磨く。大阪のミシュラン1つ星店『居酒屋ながほり』で料理長を務めた後、故郷の石川県七尾市にUターンし、和倉温泉の『日本の宿のと楽 割烹 宵待』で料理長に就任。2020年に『一本杉 川嶋』を開業。| 料 理 や お 菓 子 を 勉 強 し 続 け る 卒 業 生 | ※2022年取材時の情報です。 生産者と力を合わせ、能登のブランド価値を高めてゆく。117[石川・七尾]能登の自然の豊かさや生産者の想いを一皿一皿に込める、予約困難な日本料理店。独立開業後一年足らずでミシュラン1つ星、グリーンスターを獲得。『一本杉 川嶋』オーナーシェフ父は老舗旅館の総料理長。迷いがあって一度は短大に進みましたが、「やっぱり自分も料理人に」と決心を固め、辻調グループへ。当 時は、先 生が 自分の時 間を犠 牲にしてでもしっかり横について親身に指導してくれたのが 、とても心強かったです。ひたすらスキルアップに打ち込める環 境で、いまの自分の基盤にもなっている技術や味 覚が 鍛えられました。卒 業後は大 阪や京都で修行しましたが、10年ほど前に故郷へのUターンを決意。能登の過疎化が 進み、生産者の後継者不足といった問題が深刻化するなか、「自分に貢献できることがある」と考えてのことです。地元に戻ってからは毎日のように生産者を訪れ、「食材をどう料理したか」「お客様がどんな反応をされたか」といった話を繰り返しました。それが励みになって「もっといいものをつくろう!」と生産者の意識が高まり、結果、私のもとにより良い食材が届き、それがまたお客 様の良い反 応と生産 者の励みにつながる、といった好 循 環が生じて…。今では独立開業もでき、店は2年先まで予約でいっぱいです。自分の力でなく、生産者の方々のおかげだと感謝しています。そう思うと、手抜きは一切できない。能登で一番いい食材を、うちに預けていただいているのですからね。P R O F I L E料理人と生産者が力を合わせ、能登の食文化を未来へと繋ぐ団体『NOTOFUE』を、2022年に地元の同志たちと立ち上げました。七尾という地方都市で決して値段の安くない日本料理店が繁盛できているのは能登の食材の価値の高さの証明でもありますし、その誇りを地元の方々に再認識してもらいつつ、全国の人に能登の魅力を伝え、ブランド価値を高め続けたいと思います。生産者とのコミュニケーションから良いサイクルが生まれた。川嶋 亨さんのロング・インタビュー先生の親身な指導のもとで、料理人としての基盤を築けた。Interview料理人の立ち位置で地元・能登の魅力を発信し、価値を高めたい。川嶋 亨 さん
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