[ 小 跡 さ ん の 挑 戦 ] 小跡芙美さんのロング・インタビュー 大ヒット商品を開発する力は“製菓の基礎”から引き出される。広島県出まれ。辻調グループ フランス校卒業後、神奈川県鎌倉市の洋菓子店『レ・ザンジュ』で研鑽を積む。その後、横浜のカフェやホテルでお菓子づくりの経験を重ね、2014年に洋菓子メーカーのコスモフーズ株式会社に入社。現在は商品開発部門で、コンビニエンスストア『ローソン』のブランド『ウチカフェスイーツ』の担当チームの中心メンバーとして活躍。日本中のコンビニやスーパーのスイーツを企画・開発・製造している会社。近年のコンビニスイーツブームの火付け役。専門店レベルの品質を大量生産でリーズナブルに再現。コンビニスイーツのレベルは格段に上がり、お客様の期待も高まるばかり。専門店にも匹敵する品質を大量生産で再現する方法を考えるのは、本当に大変です。でも、ふとした瞬間にアイデアが浮かぶと、早く試したくてワクワクします。それを形にできた時の達成感は格別ですね。何より難しいのは、味を落とさず価格を調整すること。そこに挑戦するのも、やりがいです。コスモフーズ株式会社東京事務所商品部とにかくお菓子づくりが好きで「本場で学びたい 」とフランス校 のある辻 調 グループへ。フランス校卒業後は帰国し、洋菓子店、カフェ、ホテルと、お菓子づくりのさまざまな現場で10数年、経験を積みました。「まだ 経 験していない 業 態 は?」と、次に私が 選んだのが“大量生産”の分野。「コンビニのお菓子を担当すれば 、自分が 生み出した商 品が 全 国に並ぶ!」。とても魅力的に感じ、現在の会社に就職しました。ローソンの『ウチカフェスイーツ 』ブランドの担 当になり、入 社 3 年 目で『 ショコラロールケーキ』が 爆発的ヒット。用意していた原料が足りなくなるほどでした。2019年発売のバスク風チーズケーキ『バスチー 』は3日間で販 売 数 1 0 0 万 個を突破。この商品の開発では、コンビニでの販売をふまえてしっかり火通しをしつつ、独特のレア感を損なわないよう、焼き方だけでなく配合にも苦心を重ねました。商品開発で大切なのは、「こうなるのでは」という想像力と、「こうしたらいいのでは」という発想力。この力を引き出すには、製菓の基礎が 不可欠です。基礎を知らなければ 応用もできませんからね。学生時代にトライアンドエラーを繰り返しながら解決策を見いだしてきた経 験が 、まさに今の仕 事の基盤になっていますよ。 P R O F I L E118未知のお菓子づくりを追求し、たどり着いたのが“大量生産”。『コスモフーズ株式会社』学生時代に試行錯誤した体験が、コンビニスイーツのレベルアップを牽引する力につながっている。小跡芙美 さん
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