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ポートフォリオ制作方法

第3部

5.ワークフローと詳細について②
(6)作品のデジタル化
(7)レイアウトの決定
(8)製本
(9)制作時のポイント

5.ワークフローと詳細について②

(6)作品のデジタル化

掲載する作品(ラフスケッチやデッサンなども含む)は、スキャニングでデジタル化します。スキャナーはデータの取り込み方法によって「フラッドベット型」*と「シートフィーダ型」*に分かれますが、作品をスキャニングする時はフラッドベット型を用い、画像のゆがみを防ぎます。

*「フラッドベット型」…原稿をガラス台に固定して下から光を当て、読取装置を動かして画像を読み取るスキャナー。原稿をガラス面の上に置き、その上から押さえてスキャンするため、小サイズの原稿、皺のある原稿もスキャンできます。
*「シートフィーダ型」…原稿(書類)を搬送することによって印刷物を自動的に読み取るスキャナー。原稿を数枚~数十枚、ADF(自動原稿送り機能)にセットして連続スキャンすることが可能です。薄手の書類のスキャンに適しており、厚手の用紙、小サイズの用紙、立体物はスキャンすることができません。

<スキャニングで気を付けること>
スキャニング時には、スキャナーのガラス面に汚れがないかをよく確認してから作業を行います。指紋や髪の毛が作品と一緒に取り込まれてしまうと作品の印象が悪くなるため、乾いた布巾で丁寧にガラス面を拭いておきます。

上級編「解像度を意識してみよう」

低い解像度だと「ジャギー」(階段状のギザギザ)が出てしまうことがあるため、350dpi以上の解像度でスキャニングするのが良いでしょう。しかし、作品によっては見栄えが悪くなることもあります。解像度は掲載するサイズによって変わるため、適した解像度はその都度確認しながらスキャニングします。
また、解像度は高ければ高いほどデータが大きくなるため、極端に高すぎる解像度でのスキャニングは避けるべきです。あまりにデータが大きいと、レイアウト時の作業効率を下げる要因になってしまいます。

<写真撮影>
立体造形や商品パッケージなどの実物の作品は、デジタルカメラで撮影します。文化祭や展覧会などの会場で展示がされた場合は、その当時の様子が分かる写真も併せてポートフォリオにまとめると良いでしょう。

上級編「光源と画質」

写真撮影では光の当て方や強さなどに注意が必要です。被写体に十分に光が当たっていなかったり、光が強すぎて白飛び(照明が明る過ぎて、明るい部分が白く写ってしまうこと)が起こっていたりすると作品の魅力が十分に伝わらなくなってしまいます。写真撮影をする際は、作品よりも広い面積の面光源(トレーシングペーパーなどに光を通して加減を調節し、被写体に優しい光を当てる方法)や自然光を光源にし、柔らかい光が当たるようにしましょう。
また、撮影にはスマートフォンや携帯電話のカメラ機能ではなく、用意できるのであれば高解像度のコンパクトカメラか一眼レフのデジタルカメラを用いるのが望ましいです。携帯電話のカメラ機能や普通のコンパクトカメラでは画質が粗くなってしまいますので、印刷をする際、画像を拡大しすぎていないか注意しましょう。

(7)レイアウトの決定

使用する文字のデザイン、サイズ、余白のスペース、見出しや画像、キャプションの位置などを決めます。フォーマットのデザインは2~3バージョン用意し、それに合わせて各ページの作品やキャプションなどを配置していきます。ページごとにデザインを大幅に変更するのは見る人に混乱を与えてしまうため、避けるべきです。しかし、1つのデザインを何度も繰り返し使用していると相手を飽きさせてしまいます。秩序やルールを乱さない程度で工夫やちょっとした遊びを加えてみるのが良いでしょう。

レイアウトで最も重要なのは、見る人への心づかいです。「入試担当者が知りたい情報を最短で得られるレイアウトかどうか?」相手の立場になって何度も確認します。例えば、分かりにくい場所にキャプションを配置したり、余白が多すぎてしまったりすると、それだけでマイナスイメージを与えてしまうこともあります。また、装飾用の画像が作品と同じ大きさだったり、作品以外のものに存在感がありすぎたりすると、ページのメインがあやふやになり作品の魅力が伝えきれなくなってしまうので気をつけましょう。

(8)製本

完成したデータを紙出力し、ファイリングします。その際、用紙やファイルに指紋や汚れが付かないよう、ファイルのポケットの中にごみが入り込まないように十分に注意します。また、クリアファイルのポートフォリオは審査時に審査員が裏表紙からめくってしまうこともあるため、クリアファイルを使用する場合は表紙と裏表紙を勘違いされないように、見る相手のことを配慮したわかりやすいデザインにします。

上級編「インクと紙」

ファイリング時は用紙やファイルに指紋や汚れが付かないよう、ファイルのポケットの中にごみが入り込まないように十分に注意します。また、クリアファイルのポートフォリオは審査時に審査員が裏表紙からめくってしまうこともあるため、クリアファイルを使用する場合は表紙と裏表紙を勘違いされないように、見る相手のことを配慮したわかりやすいデザインにします。
自分で製本する場合は、必ず試し製本を制作します。手製のポートフォリオは壊れやすいものが多いため、学校に送付する人は特に十分な強度があり、相手が扱いやすい製本づくりを心掛けましょう。

(9)制作時のポイント

ポートフォリオ制作では、最初から完璧を目指さなくても大丈夫です。8割程度完成したら時間を空けて再度見直しをしたり、家族や友人など周囲の人からアドバイスをもらったりして改善を続けていきます。

ポートフォリオ制作は長期戦。この時間を楽しみつつアップデートを重ね、クオリティをあげていきながら、世界でたった1つの自分だけのポートフォリオを完成させましょう。

上級編「演出」

審査当日は少人数の入試担当者や教授が全国各地から送られてきた膨大な数のポートフォリオを確認しなければなりません。シンプルすぎると読み飛ばされたり、取り扱ってもらえなかったりする場合もあるかもしれません。そのため、魅力的なキャッチコピーを入れたり、面白いレイアウトを加えたりして読み手に「あッ!」と思わせるような演出も考えましょう。

第4部

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