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高校生イラストコンテスト2019 最優秀者インタビュー vol.1

神奈川県立相模原弥栄高等学校の上野和海さんが、さんぽうで実施している高校生イラストコンテストが始まって以来、全国大会で2つの審査員特別賞と最優秀賞の計3賞を受賞され、初の三冠達成となりました。おめでとうございます。今回はさらに、横浜会場でも入賞された山田望乃さんと片神小百合さん、同校美術部を指導されている横山文靖先生にもご同席いただき、インタビューをさせていただきます。宜しくお願いいたします。

作品名:「遠い空の夢」

最優秀賞

高校生イラストコンテスト2019全国大会
最優秀賞
審査員特別賞(ちばてつや先生)
審査員特別賞(上原結子先生)

――まずは受賞された作品について伺いたいと思います。最初に思ったのは、構図の面白さです。逆さに見ている子ども、部屋に展開している空や宇宙を連想させるグッズ、そこから色々とストーリーが連想されて、引き込まれる感じを受けました。今回のテーマ(たからもの)の中でどのように作品のイメージを組み立てて描いたのか聞かせていただけますか。

上野さん

上野 まず、わたしがそもそも宇宙とか月だとかが好きだということがあります。わたしが好きなものを描いたらそれも「たからもの」というテーマになるんじゃないかなあって。その中にいる男の子は、自分ではないんですけど、それでも宇宙とかいう、素敵な夢を持っている男の子。モノが沢山あるのは自分の好きなこととかに関するモノって沢山集めたくなっちゃうから。男の子がゴロンとなっているのは、本当に好きっていう気持ちが高ぶると平常でいられないっていうか、「ああ、好き」みたいになるじゃないですか。その感じを何か人間らしくみたいな。で、男の子のそのあどけなさみたいな、そういうのを含めてイメージしたのがああいう構図っていう感じです。

――男の子が逆さまから見ているっていうのはどんなねらいがあったのですか?

上野 宇宙、空、だから単なる上下という枠を越えた広がりを見せたいな、とか。いろんな理由がありますね。

――そういう意図があったのですね。横にいる人形と男の子のポーズが一緒であることも含めて、非常にユニークに感じました。ところで画材は何を使ったのかを聞かせてください。

上野 画材は水彩絵具。基本、水彩絵具で、仕上げに色鉛筆と、あとペンを使いました。

――生で拝見すると非常に立体的に盛ってある感じに見えたのですけれども。

上野 ああ、わたしは水彩絵具を水彩らしく使えなくって。水彩絵具って水のにじみとかを活かす、透明水彩ってそういう感じだと思うんですけど、なんかわたし原液のまま描いちゃったりするんですよ、水彩絵具を。それでたぶん、なんかその、盛ったりとか。あと、最後、白ペンで仕上げてたりとかもしているんです。その自分の描き方みたいなのを活かして描いたっていう感じですね。

――その塗り方とか描き方はどこかで勉強されたっていうのではなく、自分で自然に工夫して身に付けたのでしょうか。

上野 はい。水彩絵具を使い始めたのが中2の時で、それまでは画材とかあんまり興味もなかったっていうか。普通に鉛筆で描いてペンでなぞってくらいしかしなかったんですけど、沢山絵を描きたいなって思った時に、良い絵具が欲しいなって思って。それで、親に水彩絵具、透明水彩を買ってもらったんですよ、60色くらいの。それを使い始めて、自己流の描き方を見つけたっていうか。そういう感じです、はい。

――学校や部活で学んだ技術的なことは活かされていますか。

上野 技術的なところだとデッサンの勉強とかし始めてから、手前、奥の意識とか、稜線とか、そこらへんを気にするようになりました。あと、空間とか。だから中学生のときは、表面的なことは追っていたかもしれないんですけど、そこまではたぶん意識できていなくって。今回は、部屋の中でちゃんと手前にも奥にもモノがあって。構図とか空間とか、手前、奥とかも絵具で表現できるように、学校で習ったデッサンの知識とか技術も取り入れながら描きました。

作品名:「ぼくのだいすきな海」

上野さんは、2020全国大会でも最優秀賞と審査員特別賞(上原結子先生)を受賞され、2年連続日本一となりました。2021大会は、NHKからの取材によりご多忙を極め、ご出品いただけず非常に残念ではありましたが、Eテレ「沼にハマってきいてみた」にご出演された際には、受賞作品を転写したオリジナルクリアファイルをご紹介いただきました。ありがとうございます!!上野さんの更なるご活躍をお祈り申し上げます。

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