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高校生イラストコンテスト2019 最優秀者インタビュー vol.2

①受賞者のこと

――元々小さい時から絵を描くのはお好きだったということですか。

上野 はい、小さい時から。

――ご両親も絵を描かれるのですか。

上野 まったく(笑)。

――ご両親の影響ではなかったんですね(笑)。とにかく小さい時から絵を描くのが好きだったと。

上野 ずっと描いてたみたいです。なんか、紙がいっぱいたまっていっちゃって。けど保存しようにも多過ぎてできないから写真撮って捨てていたって言ってました(笑)

――そうですよね、確かに大変ですよね(笑)。絵やマンガ、あるいは、映画でも、特に印象に残ったり影響されたものとかありますか。

上野 わたし、アニメとかマンガとか全然見てこなくって。家にあるマンガもお父さんが持っていたドラゴンボールとドラえもんくらいしかなくて。ドラゴンボールとかチョイチョイ通ってきたものには少しずつ影響されてきたと思うんですけど。そうですね、あんまり、なんか、絵を描く人ってなんかアニメとかマンガとかを見て好きになって、で、模写してみたいな人がいると思うんですけど、わたしはあんまりそういう感じじゃなかったです。

――身の周りのものを描くのがずっと好きで、それが続いてきた感じですか。

上野 小さい時はたぶん。何がきっかけか分かんないですけど。普通に紙にクレヨンで絵描いていて。で、4歳くらいになって、プリキュアとか、プリンセスとか、そういうのは描いていました。人を描くのが好きで。部屋とか描くのでも、人がほんとに生きているんだっていう生活感みたいな、そういうのを描くのは好きでした。小学生後半くらい、小4から小6くらいまでマンガ描いていたんですけど、すごく丁寧に描いちゃって。人の家の設定とかも全部考えて、間取りとかも考えて。で、部屋に置いてある置物とかそういう細かいところまで考えるのがたぶん好きだったので。ここにあるモノとか、ひとつひとつ、まあ理由があったりなかったりっていう感じなんですけど、そういうモノを描くのも好きでしたね。なんでも全部描けるようになりたいって思っていたかもしれません。

――この絵からは、描かれているモノ、ひとつひとつに対するに思いや意味が感じられるような気がします。そこにどんなストーリーがあるんだろうなって思わされる何か。そういうストーリー性を常に意識されているのですか。

上野 そういうのは意識してます。めっちゃしていますね、これ。

――マンガを描いていたということですけど、ストーリー性という点で、マンガのように場面を展開していくものと、絵画のように一つの場面でそれを表現するものとがあると思いますが、これからはどういう方向で進んで行こうと思っていますか。

上野 昔マンガを描いていたってのはあるんですけど、たぶん、自分の描きたい絵的にマンガ家は無理だって思ったし、違うことがやりたいって思ったので今はマンガを描いてないんです。1枚の絵を描くのがすごく楽しいんです。けど、やっぱり両方ですかね。あとアニメーションもちょびっとやりたい。映像とかもやりたいなって思っているので。将来について細かいとこまでは決めてないです。ストーリー性があるものの方が描いたり見ていて楽しいとは思ってます。はい、そういう感じです。

――今、映像という話しが出ましたけど、そういう勉強もこれから取り組むつもりですか。

上野 したいですね。勉強はまだ今のところしてないんですけど、独学っていうか、自分でこうかなっていう感じで、はい。中2の時に、学校から頼まれて、自分でもすごくやりたかったっていうのもあるんですけど、一本の長いアニメーション作ったんです。直に紙に鉛筆で描いたんですけど、それがすごい思い出に残っていて。白鳥が飛んで人間になっていく感じの。全部で250枚くらい描いたと思うんですけど、がんばって1人で何カ月も描いて。それがすごい自分にとって大きかったし、作るのは大変だったんですけど楽しかったんで、やっぱりこれからも作りたいなって思ったんです。

――そうなんですね。ところで、今回の作品を描くのにはどれくらいの時間がかかりましたか?

上野 アイデアを少しずつ練って、で、線画に起こして。でも線画に起こすまで一週間くらいだった気がします。その後少し期間があいて(笑)、で、ヤバい、締切だって思って。塗り始めて何週間だろう、わかんないですけど。あ、でも意外と塗り始めたらどんどん塗ってくって感じでした。

――作品を作る時は構想にしっかり時間をかけてから取りかかっていますか。

上野 そんなにちゃんと決めてないですね。テーマが与えられて、色々考えて、で、いくつか良い感じの構図がポンポンポンって出てきて、最終的にそれをなんかラフで起こしたりして、一番いいってやつを起こして。で、そこから、ほんとに、気持ちが乗ったら速いんですけど。だから、気持ちが乗るまでが大変って感じですかね。ははっ(笑)

②相模原弥栄高校美術部

――ところで中学の話が結構出てきたんですけど、高校に入って大きく変わったことはありますか。

上野 あー、やっぱりなんかみんな絵のレベルが段違いに高いので、自分もがんばんないといけないって思って、夜遅くまで描いたりとかそういうのはありますね。でもそんなに根本的なことは変わってないかなって思います。

――ちなみに相模原弥栄高校を選んだ理由はありますか。

上野 そもそも美術を学びたかったので弥栄高校へ行きたかった。家から近いっていうのもあるんですけど、中1くらいから文化祭に来ていて、すごく楽しそうだったし。美術のレベルがすごく高くて魅力的だったので弥栄にしました。

――ここからは相模原弥栄高校のことも色々と伺いたいので、同じ美術部の山田さんと片神さんにも参加いただいて続けさせていただきます。山田さんが相模原弥栄高校を選んだ理由はやはり美術をやることが理由ですか。

山田 そういうところだと思います。自分はとにかく絵が描きたい。絵がうまくなりたいなって思って入ったんですけど、新しく知ることが沢山あって。分野とかも美術科は沢山で、驚くことが一杯ありました。

佳作
山田さん

横浜大会佳作3位
山田望乃さん
作品名:「美術と練習」

――片神さんが相模原弥栄高校に進学された理由は何ですか。

片神 わたしも文化祭に中学の頃に来て、やっぱり凄い魅力的だなと思って。美術が元々好きで、勉強したかったので、いい環境だなと思って入りました。

佳作
片神さん

横浜大会佳作4位
片神小百合さん
作品名:「生きていた記憶」

――皆さん美術部ということですが、美術部に入って良かったと特に感じられたことってありますか。

上野 中学校の時の美術部は部活としてちゃんと活動していて、最後にミーティングとか、わりとしっかりやっていたんですけど、弥栄の美術部ってわりと緩くって。自分の生活がちゃんと出来ている中で美術部の活動もしようねっていう、わりと優しい感じなのに実績を出しているとこがやっぱりなんかすごいなって思って。で、土曜講習とかやっぱりすごい、ちゃんと教えてくれるので画力が上がったなって思います。

山田 参加しているのと参加していないのではやっぱり違うのかなと思って、なるべく行くようにはしているんですけど。行ってみると先生とかすごい。自分だけで見るのと違って、他の人からも沢山言葉をもらえるからそういうところがよかったなと思いました。

片神 わたしは中学校のころも美術部で、そのときは強制されていて結構先輩から厳しく言われたりしていたんですけど、弥栄だとなんか好きな時に自由に来ていいよ、みたいな。そういう強制される風潮がないので良かったなと思っています。

弥栄高校

――美術部を指導されている中で心がけていらっしゃることはおありですか。

横山先生

相模原弥栄高校美術部顧問
横山文靖先生

横山先生 まずは専門家から評価されることと、大衆から評価されることの、両方目指して欲しいということですね。文化祭で缶バッジやポストカードなどのグッズを販売する時は、来場してくれたお客さまの購買意欲をそそるような商品をデザインして欲しい。イラストコンテストでは同年代からの視線を集めて票が入るようなビジュアルにして欲しい。でもそれだけじゃ本格的な美術部とは言えないですよね。高校生国際美術展や美大受験にもチャレンジして、一方では専門家から認められるような絵も描けるようになって欲しい。相模原弥栄高校の美術部は全員がプロになる集団だと思っています。練習計画を立てる時は、お仕事の現場で一線級で働く現役クリエイターのアドバイスを取り入れています。
時代の流れって速いですよね。未来の時代に何が流行るのか?いつも考えています。全日本学生美術展にチャレンジすると、審査員の先生方は芸術院会員の方も含む日本画壇の重鎮と呼ばれる人たちです。そういう人たちから評価をされたい。でもその一方で今の高校生が何に興味を持っているのかは、いつも気にしています。そこにはなんか未来のアートの予感ってのを僕は感じるんですね。

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