STEP.7 情報を集め知識を蓄えよう
1. 2022年の小論文で重要なテーマとは
2022年の小論文として、学部を問わず対策をしておきたい重要なテーマには以下のようなものがあります。
新型コロナウイルスは、第一に対策をしたい要注意テーマと言えるでしょう。今般のコロナによって、私たちの生活様式が大きく変わることとなりました。また、世界的にも経済で大打撃を受け、コロナショックという暴落も起こりました。
コロナウイルスの影響は今後続くとみられ、いわゆる「ウィズコロナ」と言われる、ウイルスといかに共存しながら生活をしていくかが問題になってきています。
また、ウイルスが落ち着いた後の「アフターコロナ」は、コロナウイルスが問題になる前とは大きく様変わりする可能性も指摘されています。
まさに時事に関連するテーマと言えるでしょう。
- 新型コロナウイルスにより、テレワークなどの働き方の変化が見られるようになった。どのような課題があるか論じなさい。
- 新型コロナウイルスの流行により、県立病院や美術館などで「県外の方お断り」との対応が増えた。あなたはどのように考えるか。
- 新型コロナウイルス流行に際し、一律10万円の給付が行われた。地域により給付スピードに大きく差が出た他、マイナンバー制度があまり普及していないために迅速な給付ができなかったという意見がある。これらについて、どのように考えるか。
- 新型コロナウイルスに伴い、国民一人当たり10万円を支給する「特別定額給付金」のオンライン申請をめぐり、市区町村の現場が混乱したことについて、どのように考えるか。
- 新型コロナウイルスの流行により、日本人の特質が明らかになったと言われる。どのような点か述べ、そのうち一つについて踏み込んで論じなさい。
また、「平成を振り返って」は近年ならではのテーマでもあります。
平成が始まった年はバブル真っただ中でしたが、平成3年にはバブル経済が崩壊し、株が大暴落し不景気となり、長い不況につながりました。世界中を震撼させたアメリカ同時多発テロ事件は平成13年に起こっており、ここからテロとの闘いが続いていることも頭に入れておくとよいでしょう。平成20年には日本でiPhone 3Gが発売され、日本でスマートフォンが普及するきっかけとなりました。また同年9月にはアメリカでリーマンショックが発生。世界中が不景気に陥りました。生活に密着している事柄だけではなく、世界情勢や経済の動きも同時に覚えておきましょう。
日本人にとって、戦後最悪の災害となった東日本大震災は平成23年の3月に発生しています。地震による被害はもちろん、津波による犠牲者も甚大でした。また福島第1原発の被災により、原子力発電の是非はいまだに続いています。
他にも平成の30年間にはさまざまなことが起こっています。受験する地域や学部によってクローズアップするものも変わりますから、目線を変えて平成を振り返っておきましょう。
さらに平成時代は災害も多かったため、改めて見直すことで災害と日本というテーマに注目して小論文を書くこともできるでしょう。
- グローバル化時代と大学の外国語教育(【2015年】大阪大―文《後期日程試験》
- 日本の中等教育における英語力(【2018年】熊本大―文〈文学〉《後期日程試験》)
大学の入試改革でも、当初、英語民間試験を活用する予定でした。これまでの大学入試センター試験では、「読む・書く」の2技能の力を測っていましたが、「話す・聞く」の2技能については測り切れず問題となっていました。
文部科学省などで、「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測る試験を導入することで、授業の現場で4技能をバランス良く教えるものに変えることを掲げていました。しかし大量の受験生が一斉に受験する共通テストでは「話す・書く」の採点には手間も時間もかかるため、民間試験を適用することとしていたのです。
結局、準備不足や問題が発生し、英語民間試験を活用することは延期となりましたが、英語教育だけでなく、入試制度改革にも関連する時事内容となっています。
さらに、働き方改革などが叫ばれている中、本当の豊かさなどについてのテーマもチェックしておきましょう。
- 豊かさについて(【2016年】茨城大―人文〈人文コミュニケーション〉《前期日程試験》)
- 豊かさが私たち人類にもたらす影響について(【2019年】茨城大―人文社会科学〈人間文化〉《後期日程試験》)
- 「文化」をどのようなものと考えるか(【2019年】お茶の水女子大―文教育〈人文科学〉《後期日程試験》)
- 情報の活用と生産(【2016年】北海道大―教育《後期日程試験》)
テレワークが普及し始めている中で、情報をどのように活用していくかに注目することで、ITに繋がるテーマとしても注目することができます。
令和の時代に社会に出ていくであろう学生ならではの視点が求められている、ということもできるでしょう。
2. 情報を集める
説得力のある小論文を書くためには、自分の主張の基となる知識や情報が不可欠です。そのため、志望する分野に関する知識を常に蓄積している必要があります。例えば、以下のことを実践してみましょう。
1新聞や出版物に目を通す
新聞は始めからすべてを読み切ろうとせず、まず社説やコラム欄に目を通すことから取り組みましょう。見出しを読むだけでも社会の動きを知ることに役立ちます。また、『現代用語の基礎知識』(出版:自由国民社)といった出版物を活用することで、時事問題に関する知識の幅を広げられます。
2ニュース番組から情報を得る
1日の出来事や事件の要点を知ることができます。連日報道される大きな話題については、その経過を把握しておきましょう。
3. 話題になったニュースをチェックしておこう
入試では、マスメディアによって大きく取り上げられたニュースに関する設問が多く出題されます。その他に、政治・経済・労働・外交・社会・自然災害・環境・医学・福祉・スポーツなど、さまざまな分野に関連した話���がテーマとなります。そのため、日頃から社会を動かした出来事や事件について調べておきましょう。
下記に各分野のキーワードをまとめています。志望分野に関わりの深い話題を調査するだけでなく、1つのニュースがその志望分野からはどのように分析できるかも考えるようにしましょう。以下の欄を活用し、ニュースの調査や考察をしてください。
ニュース (見出し) |
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出典 (新聞社 等) |
発行日: 年 月 日 |
内容 (いつ・どこ・なぜ・誰が・何をしたか) |
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考えたこと (背景・影響・課題・対策など) |
- 超高齢社会の日本
- 日本における人口減少と少子化の影響
- 新型コロナウイルスと社会
- 感染者数、増加と減少の繰り返し
- 変異株の出現
- ウィズコロナ、ポストコロナの展望
- ソーシャルメディアの発達とその弊害
- 持続可能な開発目標(SDGs)
- 成人年齢18歳に引き下げとその影響
- 各国の新型コロナウイルスとの攻防
- 2022年のアメリカ合衆国中間選挙
- 中国による巨大経済圏構想「一帯一路」
- 日本と周辺諸国の領土問題
- 中東地域における紛争と難民問題
- 東京2020夏季五輪、北京2022冬季五輪
- ロシアのウクライナ侵攻とその影響
- 新型コロナウイルスによる経済的影響
- 各業界の業績不振と対応
- 経済格差や雇用格差の顕在化
- コロナ禍における働き方や生活の変容
- テレワーク・オンライン化
- 東京一極集中の緩和
- キャッシュレス化の現状
- 原油価格高騰と物価高騰
- メタバース事業の展開
- 地域的な包括的経済連携協定(RCEP)が発効
- 社会保障制度の展望
- 新型コロナウイルスへの政治的対応と課題
- 災害復興をめぐる諸問題
- 地域社会・地域経済の諸問題
- 日本社会における性差別の現状
- 選択的夫婦別氏制度(選択的夫婦別姓制度)
- マイナンバーカード普及の課題
- 地球温暖化による諸問題
- 自然災害や異常気象の頻発
- 海洋汚染の深刻化
- 生物多様性と絶滅危惧種の保護
- クリーンエネルギーをめぐる現状と課題
- 電気自動車の開発
- 人工知能(AI)、IoT等の技術革新
- 大規模な火山噴火とその影響
- コロナ禍の教育現場・教育業界への影響
- 小中高授業、大学講義のオンライン化とその課題
- 児童・生徒への心的影響
- 各校の入学試験や大学入学共通テストにおけるコロナ対策
- 留学への支障
- 教育格差の現状と課題
- 児童虐待問題
- スマートフォン・インターネット依存
- いじめへの対策
- 高等学校での金融教育必修化
- 新型コロナウイルス感染症の流行と対応
- 医療従事者の負担と医療崩壊
- 感染者や医療従事者への偏見、風評被害
- コロナ用飲み薬の導入
- 子どもへのワクチン接種
- 医療現場におけるAI技術の活用
- QOL(Quality of Life)・QOD(Quality of Death)
- 出生率の低下
- 国民医療費の増加
- 介護問題(老老介護・認認介護・ヤングケアラー)
- 尊厳死の是非
4. 実際の入試問題を研究しよう
実際の入試ではどのような問題が出題されるのかを確認しましょう。出題の形式や内容、またその傾向は学校ごとに異なります。自ら情報を収集し、志望校の過去問題を研究してみましょう。
目次
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STEP.1
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STEP.2
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STEP.3
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STEP.4
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STEP.5
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STEP.6
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STEP.7