【ビューティディレクター】トニータナカ・インタビュー|人気の仕事特集

混迷の度合いを増す日本社会の中で、若い人たちに“自力で生きる術”を身に付けて行って欲しいと考えているトニータナカさん。
美容界のオピニオンリーダーの視点から見た世界観と業界事情をお聞きしました。

トニータナカ 【ビューティディレクター】

メイクアップアーティストとして活躍する傍ら、美容の源流を辿るうちに東洋医学やナチュロパシー(自然治癒)など世界の美容・健康体験を通して心と体の癒しの集大成である「HOLISTICBEAUTY(全体論的な美容感/健康観)」を確立。
現在は、そのコンセプトのもとに総合的な美容法・健康法の普及活動やウェディングプロデュースを行っている。

生涯を通して追い求められる仕事

―メイクアップアーティストを志したきっかけは?


アメリカ映画や姉の影響を受けて、10歳でメイクアップの世界に魅せられ12歳でプロになりました。小中高と学校に通いながら、実際に美容院を手伝っていました。『プロのメイクアップアーティストになる』と担任の先生には宣言していたので、当時は変わった子供と見られていたでしょうね。

ヨーロッパでは子供の頃から職業教育は盛んに行われています。フランスでは中世からそういった仕組みが脈々と続いています。ぼくは講演の中で、小さい時から手に職を付けて、生きる道を探せ、と話をしています。確固とした価値観を小さい時から持っている人は、すごいことを成し遂げています。靴磨きで世界を獲った人もいれば、ヴィダル・サスーンもごく早い時期からプロになっています。
若い人たちには自分の好きなことを、一生涯追い求められることを仕事にして欲しいです。


美容会は苛烈な競争社会 メイクボックス

―美容関係者の数は近年、飽和状態と言われていますが?


美容界の技術者たちの競争は苛烈です。自分の能力を高めなければ勝ち残ることはできません。上に昇ろうとしている人たちは日々、努力を怠っていません。努力がなければ淘汰されるだけですから。

また、“就職”と“就社”は違うと考えています。美容室を転々としているだけでは、単なる“就社”であって職を得ることにはなりません。職を得る“就職”とは、多くのお客様から支持を得るプロになるということです。基本的なことなのですが、シャンプーの仕方やタオルの洗い方、畳み方、床やトイレの掃除などができればどこの美容室でも通用します。しかし、最近の人たちはそういったことを嫌がりますね。そういったことを積み重ねていかなければ、お客さまから支持されるプロにはなれません。甘い世界ではないということです。


常に知識と知恵と行動と検証

―美容業界に憧れている人たちへアドバイスを。


美容が好きならば、まず、美容の世界に飛び込んでみることです。多様化する美容のカテゴリーの中から自分に合ったものを選び出して、探求することです。夢を掴んだ、という手応えがあったら、夢に対しての知識を身に付け、その知識を知恵に換えて行動する。そして行動の結果を検証する。その繰り返しが、次のステップに繋がっていきます。それを続けていけば、スパイラル(螺旋)を描くように昇っていき、夢は叶う。僕はそれを“夢の実現”と呼び、学生たちにもよく話をしています。

成績を上げることを目的に知識を得ることは無意味です。本当の知識とは呼べません。僕が若い頃は社会の中にたくさんの教師がいた。実社会と繋がりながら、人生の勉強をさせてもらっていました。実社会に繋がることを経験しながら知識を得ていくことが肝要です。


視野を広げ仕事を追及する メイクアップアーティスト

―アーティスティックな感性を磨くためには?


日本ではなく地球規模で物事を考える、世界の美容に興味を持つ、色々な人たちの考え方や価値観を理解していき、様々な視点を獲得することが重要です。それを一人称でもなく、二人称、三人称でもない※俯瞰(ふかん)という空間から全てを見られるようになれば、僕が考えるところの“超一流”になれます。自分の好き嫌いで、物事を考える人はそこで終わってしまいます。

若い人は非凡であるということが願いであり、優秀であると考えがちですが、ジイドという哲学者は『非凡とは平凡なことを繰り返すことが非凡である』と言っています。実は表現することも生活することも、“繰り返し、積み上げていく”ことが大事なのです。


※全体を上から眺めること

この職業を目指せる学校を探す・パンフレットをもらう
  1. 専門学校・大学の情報は「さんぽう進学ネット」
  2. 仕事を調べる
  3. 人気の仕事特集
  4. 【ビューティディレクター】トニータナカ・インタビュー