ペット市場・これからの可能性
成長が続いているペット関連市場は、飼育されるペットの多様化、拡大するペット関連サービス、高付加価値化する周辺商品などを中心に、今後も新たな分野が開拓され、拡大が予想されます。またSNSや動画配信などの影響で、飼育情報も依然と比較にならないほど出回っています。
多くの産業が拡大・衰退を繰り返したり変革が求められている中、ペット関連市場の盛況は世界的であり、将来も安定した成長が見込める数少ない業界といえます。しかし、業界内には現代人のライフスタイルの変化に応じたトレンドもあります。コロナ問題や超高齢化社会、健康志向やパートナー意識の高まりから、以下のような傾向が高まっています。
犬は減少気味、猫は増加傾向。エキゾチックアニマルも増加。
これまでペットの人気を二分してきた犬と猫ですが、ここ数年、犬人気は下火となり、猫の人気が高まっています。これは現代人のライフスタイルに関係しています。
犬は猫よりも活動的で、鳴き声も大きな傾向にあります。散歩やしつけを考えると、犬の習性に合わせるために、「複数の世代が同居している」「マンションなどの集合住宅より一軒家が有利」などの条件が出てきます。日本は世帯数は増えているものの、世帯当たりの人口は減っており、犬はこうした条件に合わなくなってきているのです。またコロナ問題があって外出を控える時期があったことが、ライフスタイルにも影響しました。
こうしたことから、「両生類」「小型爬虫類」「げっ歯類(ネズミ・リスなど)」を始めとしたエキゾチックアニマルの人気が急激に高まっています。ただまだまだ飼育情報は少なく、専門医も少ないため、ペット飼育の主流にはなっていません。そこで猫がペット市場を引っ張る存在になっているのです。人気が活性化すれば情報は増え、それがまた飼育者を増やす要因になっています。
飼い主の高齢化=ペット自身の高齢化
人間の超高齢化社会がペットに波及
世帯当たりの構成人員数が減ってきて、高齢者がペットをパートナーと考えるようになると、ペットの高齢化・長寿命化も進んできました。ペットが脳を活性化させ、心身共に健康な状態の維持に役立ちます。またパートナーとして同時に年を取るペットも、健康を持続させ、長くパートナーであり続けることが必要です。
このため、ペットフードも健康食志向が強まり、オーガニック性を重視したペット用品やサプリなどが売り上げを伸ばしています。そうしたことにより、ペットの寿命は飛躍的に伸びています。
ペット業界、将来成長する分野とは?
SNSと動画配信、ネット通販による市場拡大ペットに関する体調や習性、食事などの情報も、インターネットの普及により、非常に入手しやすくなりました。特にSNSでの愛好家同士の情報交換は、かなり盛んになっています。最近ではAIによる情報収集も盛況です。
動画配信サイトでの獣医やペットショップ、エキゾチックアニマルなどの飼育情報も増え、ネット通販での多様な飼育機器の購入も容易になっています。また、それに伴いペットホテルやトリミング、ペットシッター、高齢ペット向けサービスなどの情報も拡散しやすくなっていて、様々なサービスが急増しています。
ペット保険
ペットは人間と違い、健康保険がありません。病気になったり高齢化すると、高額な医療費がかかってきます。ペットの高齢化や長寿化により医療費が増える傾向にあるため、ペット保険の市場は今後も拡大が見込まれています。
高齢ペット向けペットフード・ケア用品
例えば猫など、20歳を越える超高齢ペットも増えています。ペットがかかりやすい病気や高齢化による特有の症状を食い止め、健康的な生活を維持するための食品やケアは、今後もマーケットが拡大すると思われます。
エキゾチックアニマル市場
拡大を続けるエキゾチックアニマル市場ですが、最大のネックは医療の問題。犬・猫・家畜動物に比べて獣医や動物看護師などの動物医療関係者は極端に少なく、専門的な医療を受けるのに苦労することがあります。それだけに、まだまだ未開拓の市場ともいえます。
(参照:矢野経済研究所/ペット関連総市場規模)