ちょっと役立つ進路の話

農業の進化

変革が進む「日本の農業」

競争力のある農業が求められている
日本の農業は戦前まで、「土地所有者と耕作者」は「地主と小作人」のように土地賃借を前提にした構造で成り立っていました。しかし戦後の農地改革により、農業経営は 地域に在住する耕作者の手による個人経営が主流になります。これは日本の農村の近代化を促進し小規模の個人経営者の保護となった一方、日本の農業の効率化・競争力の 強化の阻害になりました。また若者の農業離れにより、「3ちゃん農業(爺ちゃん・婆ちゃん・母ちゃん)」と呼ばれる兼業農家増加の原因にもなっていました。
そこで、今度は株式会社やLLCなどの営利法人の参入が大幅に緩和されるようになります。それらは農業法人と呼ばれ、特に2016年の農地法改正により土地の所有まで伴うものは農地所有適格法人と称されて、農業への法人参入が全面的に解禁になりました。
最近は、農業経営全体が減少傾向にありますが、この農地所有適格法人は増加傾向にあり、既に20000社を超える状況になっています。
法人化には通常の各種の企業形態として必要な事項と同様、法人税の課税や資本金、法人登記が必要となります株式会社は非公開会社に限る)。
こうして法人化が進むことにより、大規模な経営や効率的な資本投下が可能になりました。

農業DX化の進行

農業DX化

法人化が進むことによって、農業経営のインテグレーションは進んでいます。
生産現場では農業機械のハイテク化やセンサー類の発達により自動化・スマート化が進み、大型物流センターや高速道路、海上コンテナなどのインフラの整備により物流も非常に合理的になりました。
ムダや人手を減らして農産物を理想的に栽培し、素早く移動することによって鮮度を落とさずに消費者の手に届けられています。
こうした状況は6次産業(生産=第1次産業、加工=第2次産業、販売=第3次産業、その一体化)の発達に伴い、さらなる合理化が進んでいます。
またデータ分析によるマーケティング、消費予測、ブランディングも向上しており、消費者の好みを適格に掴んだ競争力の高い商品がどんどん生み出されてきました。
このような農業への投資は政府も強力に後押ししており、各種の補助金が設定されています。中でも農業DXに対する設備投資向けの補助金は、中小企業向けの「ものづくり補助金」が適用されます。

とはいえ消費者のニーズを的確に捉え、それに伴う栽培法や品種を改良・開発し、ブランドとして確立するには相当の初期投資と期間がかかります。

シゴト

農産物の知的財産

digital

ブランディングに伴う知的財産の保護
減価償却にはコストがかかります。
そうなると、種苗が流出したり、生産加工品のレシピや農産物の栽培法が解析されてしまいます。
そうなった途端に偽物や違法栽培品が市場に出回り、あっという間に市場を席巻してしまうことでしょう。初期投資をせずに栽培だけ行えば、それは非常に安い作物を作ることが可能です。
以前と違い農産物の生産技術や物流システムは、先進国も新興国・途上国も世界的に同じような水準になりつつあり、知的財産の保護を乗り越えた違法な農産物も生産可能です。そこで、2020年に農産物の知的財産を強化した新・種苗法が施行され、海外持ち出しの禁止、商標権・著作権の侵害の侵害を行った商品を、税関長が没収・差し押さえができるようになりました。知的財産権の切れる20年間までは、こうした措置で品種が守られています。

シゴト

農業は新しい産業へ

農業人口

就農者の増加が一番の課題
農業人口は減少の一途を辿っています。2015年から2020年にかけては、45万人以上の農業従事者が減りました。多くは高齢化の末の廃業にあるとみられています。こうした状況から、労働者層に外国人技能実習生やフリーターを投入を行っていますが、それは当面の人材確保に過ぎず、定着し技術を継承するには至っていません。
特定技能制度への切り替え
そこで政府は、外国人技能実習生を特定技能制度に切り替え、大幅な規制緩和を行っています。これまでの外国人技能実習制度は、あくまで日本の技術の母国に対する技術移転が前提でしたから、海外からの志望者を受け入れて短期間で学んでもらい、帰国してもらう制度でした。しかし、日本の現場では貴重な労働力としての側面が強調されることになり、幾つかの業種においては日本語の試験を受けて合格し、条件が揃えば特定技能者として雇用される制度に移行しつつあります。これまで禁止されていた転職も可能になり、人材の流動化も進むと思われます。
新規就農者の増加傾向
また、明るい話題としては新規就農者や農業法人の雇用者が増えていることです。これは各種の補助金やPR活動、規制緩和など、起業や新規参入する人材が増えていることが挙げられます。
「古い」「高齢化」「大きな規制」といったネガティブな側面から就労人口が減り続けていた農業に対して、その体質改善のために行った多くの規制緩和が、新規参入の機運を高めているのです。

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なら食と農の魅力創造国際大学校

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