そもそもオープンキャンパスとは
オープンキャンパスとは、その学校に関心のある学生やその家族に学校のことをよく知ってもらうための行事のこと。実際に進学希望の学校を訪問することで(あるいはオンライン上で視聴することで)、カリキュラムや教育環境を体験・確認する機会となります。
大学や専門学校などが開催し、体験入学やオープンスクールなどと呼ばれることもあり、受験生の8割以上が参加している重要な進学イベントなのです。

オープンキャンパスに参加する意味
オープンキャンパスは、単なる学校見学ではなくて、自分自身がその学校に行くかどうかを決める大切な機会でもあります。
志望校を決める理由は人それぞれ。なかには、同じ学校の先輩に聞いたり、パンフレットや学校のウェブサイトを見て判断する人もいるはず。しかし、実際に自分の目で学校を見たり感じたりすれば、その判断も違ってくる可能性はあります。
例えばパンフレットにはよく立地や環境の紹介として、「緑豊かな広大なキャンパス」「交通至便な都市型キャンパス」「きめ細かな少人数教育」などといった言葉が並んでいますが、それぞれ相反するメリット・デメリットがあるのです。これは実際に行って見ないと自分に合っているかどうか分かりません。
そしてオープンキャンパスに行ってその学校がとても魅力的に感じたら、進学の目標と明確な意思が固まり勉強もより熱心になります。また、いくつかの学校で悩んでいる時は、第一志望の学校を見つけやすくなるメリットもあります。
オープンキャンパスのメニュー
オープンキャンパスの内容は短期大学・大学か専門学校かによって、またジャンルによってもさまざま。ここでは代表的な内容を紹介します。
1学校説明会
一足お先に最新情報をキャッチ!
教育方針やカリキュラム、設置学科、授業内容、取得資格、就職状況、留学、入試方法などについて説明があります。学校紹介ビデオが上映されたり、パワーポイントを使ったプレゼンテーションにより、ビジュアル的にその学校のアウトラインをつかむことも可能です。
また一般公表よりも一足早く、学科編成や入試方法の変更などの情報を教えてくれる学校や、入試の過去問集や出願書類などを無料配布している学校もあります。過去問をテキストに、入試問題の傾向や対策まで解説するケースもあります。受験勉強に有効に活用しましょう。
2キャンパスツアー
まずは自分の目で学校を確かめる!
学内につくられた各種施設や、併設された教育設備、実習設備、図書館や学生食堂などが見学できます。在校生や広報担当者が案内し、中には学生食堂でランチを食べられる場合もあります。
3体験授業
納得の「なるほど!」実感体験
実際の授業が、ほぼそのままの形式で受けられます。
看板教授の授業から学校の売りとなるカリキュラムまで多彩な内容が揃っており、中には実習や実験まで体験ができる学校もあります。時間があれば授業後の質問を受け付けてくれる場合もあります。
4個別相談
小さな疑問もすっきり解決!
教員や広報担当者からのリアルな話が聞けます。学費サポートから将来の就職活動のポイントまで分からないことを丁寧に教えてくれ、中には進路先の業界内部事情が飛び出すこともあります。
個別面談が実際の面接の前哨戦になることもあるため、逆に自分が伝えたいこと、アピールしたいこと、やりたいことを事前に整理し、面談から入試面接までに繋げていきましょう。
5在校生による質疑応答
学生生活を在校生に聞く!
実際に在学している学生から、通う側視点の話を聞きます。
カリキュラムの組み方や学べること、授業の雰囲気、通学、サークル活動、学園祭、アルバイトなど、学生自身から様々なアドバイスが受けられます。
【その他、比較的多いオープンキャンパス・メニュー】
資料配布
受験案内やパンフレット、受験申し込み書などの資料から、ノベルティや文房具、実用品の配布をすることもあります。
入学試験の案内
入学試験の具体的な案内をします。中には総合型入試のエントリーシート配布や受験を前提とした入試方法の相談会もあり、学校推薦型選抜や総合型選抜を考えている人には参加必須です。また、中にはオープンキャンパス参加によって学費減免がある学校もあります。
昼食(学食体験)
キャンパスツアー・プログラムの一環として、学食で無料でランチやドリンクが提供されるほか、調理・栄養系の学校であれば、在校生が作った料理が提供されることもあります。
サークルデモンストレーション
各種イベントの代表格はサークルのデモンストレーション。日頃の活動の成果をアピールします。
どんなサークルがあるのか、入りたいサークルの活動状況はどうなのか、など気になるポイントをチェックしましょう。ただマンモス大学の場合はサークル数も非常に多く、学内ミニコミ誌やホームページで紹介されていることもあります。
学園祭
学園祭はキャンパスライフのビッグイベント。露店の出店、研究発表の展示、各種タレントのライブなど、さまざまな催し物が行われます。
その時同時にオープンキャンパスを行う学校もあります。
学園祭に行けばその学校の雰囲気がわかるから、機会があればぜひ参加してみましょう。
作品展示・卒業制作展
芸術・服飾・CG系の学科では、学生作品の展示は定番です。学科のカリキュラムをよりよく理解するためにも一度は見ておきたいもの。
在校生や卒業生の作品を見ると、その学校で何が学べるのかイメージしやすくなります。特に芸術系の学校では具体的に何が習得できるのか作品を通して理解できるでしょう。
夏期講習会
芸術系の学校では、実際に教員陣の本格的な実技指導が受けられることもあります。例えば音楽系の大学なら、模擬レッスンとして1時間弱のレッスンが実際に受けられるところも。オープンキャンパスの日程とは別に申し込む場合もありますが、実技試験の対策としてぜひ受講してみたいものです。
Webオープンキャンパスとは
Webオープンキャンパスとは、「Zoom」「Google Meet」「Microsoft Teams」などビデオ通話・会議用アプリや、「YouTube」などの動画サイトを使った遠隔型のオープンキャンパス。直接足を運ばなくても、今持っているスマートフォンやPCを通して、家や学校にいながら志望校のイベントに参加できます。校内を実際に歩いたり、学食体験はできないものの、個別相談や体験授業を受けることは可能です。
1キャンパスツアー配信
カメラを通した学校見学
実際に歩くキャンパスツアーは不能ですが、ドローンやツアー担当者のハンディカメラを通した学内の見学はできる。体感がないとはいえ、キャンパスの雰囲気や教室などの規模、教育施設の様子が視覚的に分かります。
2バーチャル授業体験
オンラインで参加できる授業体験
授業の内容も動画サイトやライブ配信で体験します。名物講師の講義や実習の様子も分かる上、双方向ならば質問も可能です。自分にあった授業かどうか、Web上で確認しておきましょう。
3オンライン個別相談会
ビデオ通話・会議用アプリを使った個別相談
教員や広報担当者からの話がライブで聞けます。リアルのオープンキャンパス同様、学費サポートからカリキュラムまで分からないことを丁寧に教えてくれます。こちらも個別面談が実際の面接の前哨戦になることがあるため、逆に自分が伝えたいこと、アピールしたいこと、やりたいことを事前に整理し、面談から入試面接に繋げていきましょう。
【Webオープンキャンパスで用意したいもの】
PC・タブレット・スマートフォン
今使っているもので、 「Zoom」「Google Meet」「Microsoft Teams」 「YouTube」など指定のアプリがインストールできたり、ブラウザーから接続できれば問題はないです 。ただしカメラは必要。装備されていない場合はシンプルなもので構いませんので購入しておきましょう。
マイク付きヘッドフォン
外部の騒音が入ったり、PCに内蔵されているマイクがノイズを拾うことがあります。できればマイク付きヘッドフォンを用意したいもの。100円ショップで売っているようなクォリティのものでも十分です。
通信環境
コスト面や通信状態の安定性からWiFiまたは有線LANを使うことが望ましいです。また、自分が座っている場所の背景にも気を配りましょう。家族やペットが入りやすい環境や道路の走行音が入る場所はなるべく避けたいもの。学校の空き教室を貸してくれる場合もあるので、先生に相談してみましょう。
オープンキャンパスの開催時期~大学・短期大学編~
大学・短大のオープンキャンパスは、一番開催が多い時期が夏休み前後。また学園祭の時期や低学年向けに春休みの3月も開催しているが、頻度は少なく、多くても5回くらいの開催です。ただしそのぶん規模も大きく、数百人程度のものも多いです。
人気の大学ならば受け付け開始からすぐ定員に達してしまいます。

入試スタイルとの関係性
大学・短大は総合型選抜(旧・AO入試)、学校推薦型選抜(旧・推薦入試)があり、また一般選抜にも共通テスト併用・利用型や個別入試などがあります。 それぞれの入試スタイルは日程やシーズンがある程度決まっており、幅広い日程でのオープンキャンパス開催は難しいです。そこで、その年度の受験者向けのオープンキャンパスは概ね夏休みまでに行われることが多いようです。
総合型選抜がキーとなる
総合型選抜の出願期間は9月1日~と決められていますが、エントリー開始は6月頃から始まります。そして、エントリーシートの配布はオープンキャンパスで行われることも多いです。出願にはオープンキャンパスの参加が必須となっている大学もあります。つまり、実質的9月1日~の出願期間は形骸化していることもあります。
オープンキャンパスに参加しなくても総合型選抜に合格できるか?
エントリーに「オープンキャンパス参加者に限る」と謳っていない限り、合格は可能です。ただかなり不利になることも事実。特に面接試験の場合、カリキュラムと自己アピールの結びつけが難しくなったり、逆に「志望しているならなぜ参加しなかったか?」というネガティブな印象になってしまう場合もあります。参加しなかったことの理由が必要になるのです。総合型選抜を考えているなら、できるだけ参加しましょう。
春休みに行われるオープンキャンパスとは?
その年度に受験する生徒ではなく、新2年生、新3年生が対象となります。この場合は実戦ではなく、志望校を絞るのに使うと思った方がいいでしょう。
オープンキャンパスの開催時期~専門学校編~
専門学校のオープンキャンパスの特徴は回数が多いこと、開催期間が長いこと。夏休み前後の最盛期には、ほぼ毎週末+平日もオープンキャンパスが開催されているケースもあります。
そのため1回当たりの参加者は少なく、1ケタから100人程度の場合も多いです。

入試スタイルとの関係性
専門学校の入試は、主に「AO入試」「推薦入試」「一般入試」の3パターン。大学入試では「AO入試」の名称は「総合型選抜」に変わりましたが、専門学校では「AO入試」の名称を現在でも採用している場合が多いです。
それぞれの入試スタイルについては、出願やエントリーの解禁日程は都道府県ごとに決まっているが、一般入試自体は定員に達するまで数次にわたって行われることもあります。その場合、定員が埋まり次第、入試期間は終了となります。そのためオープンキャンパス開催は幅広い期間にわたって行われるのです。
AO入試日程との関係
AO入試の出願期間は大学の総合型選抜同様、解禁日が決められていますが、前述のように都道府県によって日程は異なります。エントリーシートはオープンキャンパスの場で提出する場合も多く、出願には大学同様オープンキャンパスの参加が必須となっている専門学校もあります。
どちらかというと一般入試の機会が多くキャンパスも小規模なため、オープンキャンパスは実技授業の体験や個別面談に重きが置かれます。