専修学校のなかで、高等教育機関として「専門課程」がある学校が『専門学校』と呼ばれています。職業につくために特化した実習中心のカリキュラムが最大の特徴です。
専門学校の一番の魅力は職場に直結した技能教育と言えるでしょう。専門学校では、専門的な知識や技術を習得するために、理論の学習以上に「実際に行い、身体で覚える」という実践的な授業が重視された実習中心のカリキュラムなので、就職後即戦力として活躍できるスキルを磨くことができます。また、それぞれの分野に特化しているので、希望する職業に必要な資格取得や、就職活動へのサポートが期待できます。
設備にも力を入れている学校が多く、最新の設備を取り入れている学校や、将来働く現場と同じ環境が用意されている学校もあります。また、講師の多くは現場で活躍するプロフェッショナルで、なかには業界の著名人を招いての授業を行う場合もあります。
大学での学びは、学問の追究や研究を中心に幅広い見識を身に付けるのに対して、専門学校では、職業に必要な能力の育成を目指しています。専門学校の授業の多くは実習を中心に構成されており、実習を通じて技術や知識を身につけることに重点を置いています。その分、一度でも休むと授業についていけなくなることもあります。学ぶ目的や将来の目標を明確にして、遅刻・欠席をしないように心がけましょう。
大学・短期大学の教育目的は、広く教養を高めたり、専門的な学問や学術の研究を行うことです。一部の学部・学科を除いて、専門の職業につくための教育は行っていません。また、2019年度より開設された専門職大学/短期大学は、職業教育に特化し専門性の高い職人を育成します。一方、専門学校は職業に直結した技能教育が中心です。技能を身につけたり、資格を取得したりすることで、それを活かせる職業がはっきりし、的をしぼった就職活動が可能になります。就職後に即戦力として働ける一方、分野に関連しない職業に就くのは難しくなるため専門学校へ進学する場合は将来就きたい職業を明確にしておくことが必要となります。
専門学校 | 大学 | 短期大学 | 専門職大学 専門職短期大学 |
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教育目的と特色 | |||
職業もしくは実際生活に必要な能力を育成、または教養の向上 | 学術の中心として、広く、深く学芸を研究し、知識、道徳的、および応用的能力を展開させる | 深く学芸を研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成する | 深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うために必要な実践的かつ応用的な能力を育成・展開させる |
設置学部・学科 | |||
職業や実生活の必要に応じた区分。さまざまなコース | 学問体系における学部・学科(あるいは学群・学類)区分(最近では職業に結びつく力をつける学びの傾向も強い) | 学問体系における学科区分、または職業や実生活の必要に応じた区分、コース | 専門性が求められる職業について、特に理論と実践力を兼ね備えた人材を求める業界のニーズに応じた学部・学科 |
授業科目 | |||
専門的な知識・技術などの習得(実習・実技の時間が多い) | 一般教養科目、外国語科目、保健体育科目、および専門科目(最近では、企業と連携し職業や実践力を意識した教育も増えている) | 一般教養科目、専門的な知識・技術などの修得のための科目、資格取得支援の科目 | 基礎科目、職業専門科目、展開科目、総合科目(4年制で40単位・2年制で20単位以上の実習科目、うち4年制で20単位・2年制で10単位以上は企業等での「臨地実務実習」が必修) |
授業時間(卒業に必要な時間・単位数) | |||
1年間800時間以上(時間制)※単位制を導入している学校も一部あり | 1年間の授業日数は35週が原則(単位制) 4年制大学124単位 |
1年間の授業日数は35週が原則(単位制) 2年制62単位 3年制93単位 |
4年制124単位以上 2年制62単位以上 3年制93単位以上 |
編入学・単位互換 | |||
大学・専門職大学・専門学校(2年制以上で基準あり)間で編入学可(一部の学校で単位互換可能) | 大学・短期大学間で編入学は可能 | 大学・短期大学間で編入学は可能 | 専門学校や短期大学からだけでなく社会人の編入学生も積極的に受け入れ(入学前に実務経験や資格取得などを通して実践力を身に付けている学生については所定の単位数が与えられることがある) |
1時限の時間 | |||
50分、90分など(45分、60分、75分もあり) | 原則90分 | 原則90分 | 講義は原則90分(臨地実務実習は4年制で計600時間、3年制で計450時間、2年制で計300時間) |
修業年限 | |||
1年以上(1~4年。2年制が最も多い) | 4~6年 | 2~3年 | 4年(専門職大学) 2年、3年(専門職短期大学) |
卒業後の称号・学位 | |||
専門士 (2年制以上で基準あり) 高度専門士 (4年制以上で基準あり) |
学士 | 短期大学士 | 学士(専門職) 短期大学士(専門職) |
専門学校で学ぶことの魅力の一つとして、数多くの資格を取得できるという点があります。資格を取得していると就職の際に有利になる一方で、資格がないと就くことのできない職業もあるため、自分が進学したい専門学校で取得できる資格をしっかりチェックしましょう。
しかし、学科の名前が同じだからといって、どこの学校でも同じ資格が取得できるとは限りません。専門学校の授業はバラエティに富んでいて、学校の強みを活かした授業が展開されています。そのため取得できる資格も異なる場合があります。
学科名だけを見て判断せず、その学科では
どのような授業が行われているのか、カリキュラムの内容を確認しましょう。
専門学校で2年以上、総授業時間数が1700時間以上の学科を修了すると「専門士」の称号が与えられ、大学・専門職大学への編入学が可能になります。一定の要件を満たした4年以上の場合は「高度専門士」となり、大学院への入学が可能です。なかには大学・短期大学の通信教育を利用した併修コースを持つ学校もあり、専門学校卒業と大学(短期大学)卒業資格を得られます。
2014年4月より文部科学省は、企業等と密接に連携して、より実践的な職業教育に取り組む学科を「職業実践専門課程」として認定しています。認定を受けた学科は「職業に必要な最新の実務の知識・技術・技能を育成する学科」として、国のお墨付きを得たことになります。
<全国で994校2,986学科認定(平成25~30年度)>
「職業実践専門課程」認定要件
専門学校とは、高卒以上が入学資格となる「専修学校専門課程」のことです。各都道府県知事の認可を受けていないと、「専門学校」と名乗れません。同様に認可を受けている高等教育機関として、専門学校以外に中卒以上を入学対象とする高等課程を持つ高等専修学校や学歴・年齢を問わない一般課程を持つ専修学校などがあります。これらを総じて「専修学校」と呼びます。専修学校と同様に職業教育を行う「各種学校」という教育機関もあります。入学資格など専修学校とは認可の基準が大きく異なっているのが特徴です。
また、専門学校や各種学校などとは異なり、都道府県知事などの認可を受けていない教育機関は「無認可校」になります。専門学校は細かな基準・原則のもと認可されているに対し、無認可校は修業期間やカリキュラムなど自由度が高いのが特徴です。しかし、無認可であるため受けられない奨学金制度や割引なども多々あり、よく調べておくことが大切です。
専修学校 | 各種学校 | 無認可校 | |
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教育機関 の特色 |
学校教育法第124条に定められた、都道府県の知事の認可を受けたもの ●専修学校専門課程 ●専修学校高等課程 ●専修学校一般課程 |
学校教育法第134条に定められた都道府県の知事の認可を受けたもの(工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、家政、文化・教養の各系統の学校と予備校・自動車操縦、外国人学校など) | 認可を受けていない自由な教育機関、○○専門学院、○○学校という名称を使っている場合もある。カルチャーセンター、料理教室、学習塾など |
修業年限 | 1年以上 | 1年以上(ただし3カ月、6カ月のものもある) | 短期間のもの、週当たり時間数の少ないものも多い |
年間授業 時間数 |
800時間以上 夜間は450時間以上 |
680時間以上(1年未満の場合は比例して減じる) | なし(個別に定めているところもある) |
入学資格 | 【専門課程】 高等学校卒業以上対象 【高等課程】 中学校卒業以上対象 【一般課程】 学歴不問 |
各学校が定める | なし(個別に定めているところもある) |
※すべての専門学校が「○○専門学校」と名乗っているわけではありません。校名だけで判断せず、確認する事が大切です!