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小論文試験では設問文を通してテーマが与えられますが、設問によっては課題文やグラフなどと合わせて出題されます。しかし、いずれの場合も設問文や資料を通して与えられたテーマに沿って答案を書かなくては、設問に解答したことになりません。設問文に基づき、何を答えるべきか考えることは、主張を論じるための第一歩です。
設問文を読み、与えられたテーマに沿って主張を論じる形式です。出題されるテーマはさまざまですが、以下の形式で出題されることが多いです。
(1)論じるべきことが指示されている設問
<例1> 二者択一で論じさせる設問
設問:児童にとって学習塾は必要か。 ➡ 主張:必要である。/必要ではない。
<例2> 対策を論じさせる設問
設問:「歩きスマホ」を減らすための方法を述べよ。 ➡ 主張:取り締まる条例を定める。
<例3> 「意義」や「原因」、「影響」、「弊害」などを指定して論じさせる設問
設問:オリンピックを招致する意義は何か。 ➡ 主張:国際交流のあり方を考えることだ。
指示に沿うことは必須条件です。意義を問われているのに賛成や反対を述べるのは見当違いな解答ということになります。むしろ、指示に従って考えることでどのように論じるかも定めやすくなります。
(2) テーマについて、自由に論じさせる設問
<例>
設問:若者言葉についてあなたの考えを述べなさい。
主張:否定的な捉え方をされるのはなぜか。それは……
「~について考えを述べよ」のように、論じるべきことがテーマ以外に指示されていなければ、自由に論述させる設問と捉えてよいでしょう。この場合、テーマについて解き明かすべき問題を自ら設定し、それに対する答えを出さなくてはいけません。この手順は、STEP1の「小論文を書くポイント」を確認しましょう。
与えられた課題文を読み、その内容を踏まえて主張を論じる形式です。
まず、文章内で示されている要点を読み取り、設問全体のテーマをおさえます。そして、設問文に沿って要点やテーマに対するあなたの主張を考えましょう。国語の文章題のように、設問文を先に読み、問題の指示を理解したうえで文章を読むことで要点を見つけやすくなります。
<例1>
設問1:課題文Aを200字以内で要約しなさい。
設問2:課題文Aについて、あなたの考えを600字以内で述べなさい。
<例2>
設問:課題文Aを読み、筆者が主張していることについてあなたの考えを述べなさい。
例1では要約問題と論述問題が分かれていますので、設問1をSTEP6の「要約の要領をつかもう」で学ぶ要約の手順で記述します。
一方、例2では要約は求められていません。しかし、主張を論じる前提になりますので、序論で課題文の要点には触れましょう。
与えられたグラフや図表などの資料を読み、その内容を踏まえて主張を論じる形式です。
まず、資料に表れている顕著な差や傾向、また、資料が複数ある場合はそれらの関係性を探します。続いて、それらの資料の背景にある情報を読み取り、設問全体のテーマをおさえます。そして、設問文に沿って読み取った情報やテーマに対するあなたの主張を考えましょう。課題文型同様、先に設問文を読むことで資料に隠された情報を見つけやすくなります。
<例>
設問:図A(「日本人の平均寿命の変遷」)と図B(「日本人の死因となる疾病の順位」)を読み、日本の医療の課題についてあなたの考えを述べなさい。
単に「日本の医療の課題」を論じるのではなく、図A・Bによって取り上げるべき「課題」を絞り込むことができます。資料に隠されている情報を理解できているほど、何を論じるかが定めやすくなります。
看護志望でありながら医療への知識や興味を持たないという人がいるとします。そのような人に入学してほしいと思う看護学校はあるでしょうか。選考で求められるのは、志望する分野において自ら答えを探求していける人材です。そのため、小論文では志望分野に関わるテーマが出題されるだけでなく、その分野を志望する観点から主張を述べることが求められます。
設問文では特定のテーマが与えられますが、そのテーマに関連する事柄や時事的な情報も必要となります。それらを通じて、知識や理解力をはじめ、社会的事象への興味や関心、学びへの意欲が問われています。
論述を通して、志望分野における適性も問われます。そのため、同じテーマでも志望分野によって求められる内容が異なります。あなた自身が進む分野の専門家になったつもりで考えましょう。
<例> 設問:携帯電話やスマートフォンついて、あなたの考えを述べなさい。 | |
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文系学部志望者 | 携帯電話の利用により人間生活の中のコミュニケーションが過去からどのように変化してきたかといった視点で論じるとよいでしょう。 |
理工系学部志望者 | 新しい機能の開発、より高度な技術や利便性の拡大、端末の小型化や軽量化といった、技術面を論じるとよいでしょう。 |
看護医療系学部指導者 | 電車やバスなどの公共交通機関の優先席や病院内では、一般的に携帯電話の使用が制限されています。しかし、医療従事者としては携帯電話を役立てる利用法がないか考えてみるとよいでしょう。 |
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